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骨まで愛して/骨フェチな伊作 雑伊


▼骨まで愛して





 率先して他人の手当てをするようになってから、色々な怪我を見てきた。
軽いものから死に至るものまで様々に。
だからか、伊作は雑渡が包帯をほどいて、まるで一度剥がれた肌が接ぎ当てたように引きつれている異様な身体を晒しても特に何の感慨もなかった。

全身から薬と腐った臭いがしている雑渡がその腕で伊作を抱き寄せても何の感慨もなかった。

「怖くない?」

そんなことを雑渡が訊ねる訳も分からない伊作は不思議そうに首を傾げて、ええ、と頷いた。

次に雑渡は伊作に接吻した。

「気持ち悪くない?」
「ええ」

気持ち悪くも気持ち良くもない伊作はただそう答えた。
やはりそこになんの感慨もなかった。

雑渡が口づけを深くしたので伊作は退屈凌ぎに舌先で雑渡の歯並びをなぞった。
雑渡は身体の表面こそ傷だらけだったが、口の中は歯が欠けることもなく形も良く整列しているのを伊作は知った。
雑渡の頭部に手を回すと頭蓋にも歪みは無くやはり形が良いことを知る。

ここに至って初めて伊作は雑渡に対して特別な感慨を抱いた。

伊作は白い頬に朱をのせて、うっとりと雑渡を見あげた。

「雑渡さん、あなた・・・骨になったらさぞ綺麗でしょうね」

口付けの後、熱っぽく目を潤ませて伊作は雑渡の顔の下の頭蓋を思い切な気なため息を溢した。

雑渡は片目で瞬いてまじまじとそんな伊作を見返した。
あのさぁ、言いにくいんだけど、

「私はちょっと伊作君のこと怖いなぁ」

ちょっとね。
雑渡はそう付け足して笑った。けれど骨になってこの妙な性癖の子供に愛されることは吝かでは無く雑渡には思えたのだった。
 
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