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牡丹灯篭/※怪談にかこつけた(ぬるく性描写あり) 雑伊


▼牡丹灯篭
 



親切にしたばかりに祟られて連れて行かれるなんて気持ち悪いじゃないか。

元来、怪談話の類は苦手だった伊作は牡丹灯篭の話が特に好きじゃなかった。
難儀していた美しい女性を助けたと思ったらその女が幽霊で、男に惚れて常世に連れて行く、といった少し艶の有るような不気味な話はいつか仙蔵が嬉々として物語ってくれた。
唐から入ってきた書物にそういうのを集めた娯楽書があったらしい。
因果応報の祟り話とは違う理不尽さが伊作には納得いかないのでどうにもこの話は気持ちが悪いのである。


畳に押し付けられた体勢で伊作はそんな怪談を思い出していた。
伊作に覆いかぶさるように圧し掛かっている男は雑渡という。
あとは忍を生業としていることしか知らなかったが、それだけで抵抗を諦める理由として十分な情報だった。
体格さや経験値など上げ連ねなくても如何せん自分はまだ忍ですらないのだ。

さて、その彼の膿んだ皮膚を覆う包帯を先刻伊作は換えてやったばかりだ。

その親切に彼は大層心を打たれたらしい。
礼を言うその舌先の乾かぬうちに伊作は床に引き倒された。舌先の乾かぬうちなんて、温い。
 非常に驚いた、感謝している、このような親切はこんな風体になってから初めて受けた、
…君のことが好きになった。

そういう言葉と共に伊作は粗い畳の上に押し倒され服を剥がれ首を吸われたのだった。
牡丹灯篭の話では幽霊女を助けた男は、女との情事のたびに生気を吸い上げられてゆっくりと死ぬのだ。
雑渡は全身包帯で覆われた見かけこそ不気味だが、生きた人間で、多少の行為を強いられたトコで死に至るわけは無いのだが、焼けてかさついた指先が胸の上を這い回ると伊作は自分が殺されるのではないかと錯覚した。


 ところで実際、雑渡とのセックスは死ぬのではないかという程良かったのである。

雑渡の愛撫は酷く丁寧でまた妙に巧みであったので、伊作は受け入れるセックスは初めてであったけれども尻の穴を弄られて数度達し、一度などは乳首を強く吸われただけでイってしまった。
 
 色事に無知でもないが慣れても居ない伊作はひぃひぃと色気の無い悲鳴を上げるばかりであったがそれで雑渡は満足であるらしい。一晩で随分とふやけさせられた後孔に自身を埋めて緩く突き上げながら愛おしげに伊作の耳元に睦言などを囁いている。

「ねぇ君、私と一緒においで」

抱きながら雑渡は伊作を自分の勤める城へ幾度も誘った。それが余計に灯篭幽霊に被るので、快楽と恐怖で頭の働かない伊作はぐじゃぐじゃと汚い泣き顔で必死に頭を振ってばかりいた。うん、と言えばそこで死ぬような気がしたのである。

「行きません行きません」
「どうして」

心底残念そうに言いながら雑渡は伊作の肌を撫で、舌で愛撫する。殆ど媚びるに等しい悲鳴を上げた伊作はもう考えて物を言うことが出来ない。幾度目かの射精で自らの腹を汚しながらうわ言のように口走った。

「常世に連れて行かれます」


―なんだい、人を幽霊みたいに。
そう言って笑った雑渡の言葉は洒落にならない。
札でも貼ってやろうか、皮肉交じりの冗談が伊作の頭を掠めたけれど怪談に準えるのならどうせ札を自ら剥がすのも幽霊の元に身を差し出すのも己自身なのである。やっぱり気味が悪い。

伊作は神経質に笑った。


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あとがき:まだ恋しはじめの雑伊です。(これを恋とか。)

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