忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

暴君と獣(伊作(と小平太) / 暴君頂上決戦。


▼暴君と獣




「私は我を通すほうだから我侭だ、横暴だ、暴君だと言われるが、お前程ではないぞ」

小平太が笑う。学園裏の森の中に潜んでしまって出てこない小平太の前には伊作が救急箱を持って立っている。

 小平太の左手は折れてぷらんとおかしな方向に曲がってぶら下がっている。血生臭い忍務があったので小平太の制服は泥と返り血で黒く汚れている。小平太は綺麗に仕事を出来ない。
伊作はどうやって嗅ぎ付けるのか小平太の負傷を分かっていて森へのこのこ追ってきていた。

 小平太はぐるぐると喉を鳴らして唸っている。小平太は殆ど獣の様な男だから血を見た後や手負いの際は非常に気が立っていて危なかった。森の鳥や獣はみんな小平太の身体中びりびり発している殺気に逃げてしまった。
生き物のいないしん、とした空間に伊作は馬鹿のように穏やかな顔で救急箱を引っさげてやってきた。

「なんのことだから知らないけれど、たまにお前みたいに自分から保健室に来てくれないやつが居て困るよ。おいで小平太。」

伊作が手を差し伸べる。細い手首だ。折れそうだ。弱そうだ。
弱い生き物を見た肉食獣の本能で伊作に飛び掛って首に噛み付いて喉を千切ってやりたいのを小平太は懸命に堪えている。
伊作は如何にも被捕食者の顔をしているから側に寄ったらきっと自分はこれを殴って蹴って骨を砕いてぼろぼろにしてしまうに違いなかった。小平太はぐるぐる唸りながらまだ人間の言葉で交渉する。

「帰れ伊作。私は暫く人の側に居られない」
「気が落ち着くまで森に潜むかい?その頃にはお前の腕が二度と使えぬようになっているかもしれないよ。」

出て来い、と伊作が強く言ったので小平太は腹が立ってきた。弱いくせに、伊作は傲慢だ。

「私はすると言ったら好きなようにするんだ。」
「僕だって治すと言ったら治すんだ。」


だんっ、と伊作は叩きつけるように薬箱を地面に置いて苦無を身構えたりする。刃先には身体の自由を奪う毒が塗ってある。小平太は笑って犬歯を剥き出した。

「知らんぞ、伊作。私はもう興奮してわけが分からないんだ」

伊作も笑った。こちらは薄桃色の唇の端を可愛く上げて少女のようだ。

「僕もね、血を見ると興奮して無茶をする性質だよ。」


覚悟しろよ、と口に出す伊作の目は三日月に細められてぎらりと獣っぽく光った。





PR

Comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

Trackback

この記事にトラックバックする:

Copyright © No Mercy for mobile : All rights reserved

「No Mercy for mobile」に掲載されている文章・画像・その他すべての無断転載・無断掲載を禁止します。

TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]