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戦地にて/※性・暴力表現あり 戦場で再会する雑伊


▼戦地にて



 
 

 放してください、と伊作は抗議した。
伊作はぬかるんだ泥土の上にごろんと身体をひっくり返されて両腕を押さえつけられている。伊作の身体に圧し掛かっている真っ黒な装束に身を包んだ男は雑渡という男で伊作もよく見知った顔である。戦場でこの男の怪我を診てやってから男はどうやら伊作に並みならぬ興味を持ったらしい。男は幾度か伊作の元を訪れ愛情の様なことを口にしたりもしたが、さておき、雑渡と伊作はある日また戦場で出会った。

 
「雑渡さん?」


 背後から伸びた手に地面に引き摺り倒されて押さえつけられて伊作は狼狽したが、見れば己の身体を押さえつけているのは木乃伊のような風体こそ恐ろしいが良く見知った相手であったので伊作はほっと息を吐いて名を呼んだ。
何だあなたですか、そう言って伊作は身体を起こそうとしたのだけれど雑渡は伊作の手首をしっかりと地面に縫いとめたまま動こうとしない。

「手、」

 放してください、と伊作は抗議した。伊作にはしなければならないことがあった。
けれど雑渡は伊作の腕を却ってぎゅう、と力を入れて握った。手首を圧し折られてしまいそうな気配に伊作は途端に凍りついた。


「何してるの?」


 雑渡の声はいつもの様に抑揚がないのだが、伊作は目の前に居るのが何か空恐ろしいものだと気づいた。気迫に当てられて伊作は咄嗟に声を失う。唇を震わせて伊作は緩く首を振る。男の顔がぐっと近づいて吐息が顔にかかる。何してるの。

「いいえ、…ぼくは、僕はただ」

伊作はびりびりと肌を刺す緊迫感に喘いだ。

僕は別に誰かの邪魔をしたいのではなくて、戦場に居るのもどちらの城の味方だとかではなくて、情報を持ち帰るような場所も特になくて、そうではなくて、僕はただ、

伊作は言い訳がましく言葉を切れ切れに紡いで、それから傍らに取り落としてしまった木箱に目線を向けた。蓋が壊れて開いてしまったそれからは包帯やら薬やら鋏やらが零れ出ている。雑渡もそれを見て伊作が何をしにこんな所にいるのか分かっているらしい。

「そうだろうね」

 雑渡は眉を顰めて溜息を吐いた。小刻みに震えているような伊作の腕を握る手に更に力を込めると花の茎でも手折るように簡単に伊作の手首はおかしな方向へ曲げられてしまって伊作は甲高く悲鳴を上げた。
たちまち赤黒く腫れ上がっていく伊作の手首を放して雑渡は伊作の装束に手を掛ける。伊作の目が大きく見開かれて次いで身を捩って暴れ始めた。


「嫌です嫌です放して下さい!」


 伊作は辺りを見渡した。背中の地面はぬかるんでいる。前線は当に場所を移っていたが此処は戦場で、地面は血と脂を吸ってべちゃべちゃしている。辺りに居るのは前線が移ってももう動けない死者とそこに埋もれる負傷兵たちで苦痛の呻き声が細々と伊作の元まで聞こえてくる。
 死んでいるのか生きているのか頭を真っ赤に濡らした男の首と目が合った、気がした。


「やめてください嫌です、やめて下さい」



 伊作は重ねて哀願した。雑渡はその唇に接吻した。震えてカタカタ音を鳴らしている伊作の上下の歯の隙間から舌を捻じ入れてぬちゃぬちゃと舌を絡み合わせて口の中の粘膜を貪った。袴の紐を切り裂いて身につけている物を全部毟り取ってしまって伊作の白い裸体をぬかるんだ地面の上で抱き始めた。  
 怯えて強張っている身体を撫でて性器を緩く擦り上げて、後ろに指を突き入れて内壁を抉る。伊作の目はしきりに辺りを彷徨って、そこいらで呻いている死傷者を気にしている様であるのに快楽に抗えないらしい、腹筋がひくひくと痙攣している。

 白い胸で色づいている乳首を指先で弾くと伊作は背を反らして鳴き声を上げた。頬を赤く染めて荒く息を吐いている伊作のものも立ち上がって先端から先走りを零している。
 身体はすっかりいやらしい行為に夢中になっている癖にそれでも伊作は震える唇で叫んでいる。
やめて、やめて、
雑渡が己の勃起した性器を伊作の中に埋める頃には堪らず伊作は悲鳴を上げた。



「雑渡さん雑渡さん死んでしまいます」
「殺さないよ」

何を馬鹿なことを、と雑渡は呆れた様に言う。伊作は涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら首を振った。

 いいえ、いいえ、死んでしまいます。
伊作は曲がった手首で生臭い戦場の向こうを指差した。あちらこちらから獣の様な呻き声が重なって響いては減っていく。あの人たちが死んでしまいます。伊作はしくしくと泣きながら請うている。

 草むらの向こうに死に掛けている足軽や、巻き込まれた村民や、男やら女やら子供でも老人でも今行けば助かる人々を伊作は助けたいだけなのだと伊作は言う。
 だから放してください、と言う。


「うん、それをさせないようにしてるんだよ」



先程から伊作が戦に関与するでなく辺りの人を手当てして回りたいだけなのが見逃してもらえると思っているのは大きな間違いだ。雑渡は泥濘の上で伊作の白い身体を突き上げながら言う。
 
-私みたいに君が助けた人間がこんな風に害悪みたいに君を愛するのを私は見たくないからね。
もう暫く茂みの向こうの呻き声が全部止んでしまうまで、雑渡は伊作を抱いている心算である。









・・・私的に雑伊の原点はこんな感じです。
治療行為しか見えてない伊作と伊作ともにゃもにゃすることしか見えてない雑渡さん。
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