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可哀い僕/伊作が媚を売る話 雑伊

▼可哀い僕
 



余計なことを聞いてしまったなあと雑渡は思ったけれども言ってしまったことは仕方がない。

伊作の前に現れた雑渡に伊作は柔らかく笑って手に手を重ねて、包帯ぐるぐるに埋もれた雑渡のひび割れた唇に伊作のふっくらと柔らかな桜色の唇を重ねて、丁寧に口の中を吸って、そして自分で着衣を落として白い腕を雑渡の首に絡ませた。
雑渡は決して伊作を抱きに伊作のとこへ来るのではなかったが、好意的な伊作の態度に心を弾ませて伊作を抱き寄せたのである。


伊作は雑渡に特殊な思いなどちっとも寄せているようには見えなかったので雑渡はなんと無しに訊ねた。
どうしてこんなに歓迎してくれるのかという内容である。


「怖い思いをするのは嫌なんです」

伊作は宥めるような笑顔を浮かべたままだ。
雑渡はゆっくりと伊作の身体を自分から引き剥がした。
すると伊作はふと不安げな目をして雑渡を見た。

「拒んだりしませんから、あなたも僕を殴ったりはしないでしょう?」

雑渡は酷く悲しい顔をした。
伊作が望まぬなら髪の毛一本だって犯す気はないというのに!

余計なことを聞いてしまったなあと雑渡は思った。
けれど聞いてしまった以上録な人間に愛されなかったと見える可哀想な子供の媚びをそのまま受けとるわけにもいかない。
雑渡はなにも言わなければ抱けた筈の伊作の白い肌を眺めて物惜しげなため息を吐いたのだった。



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