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ラプンツェル/(雑伊・食満伊)童話パロ


▽ラプンツェル



※童話パロ







 山の森の奥に小さな荒れ屋があった。
そこには全身の傷を包帯で覆った大変恐ろしい姿の男と、柔らかな蜜色の髪の毛を長く伸ばした優しげな様子の子供が住んでいる。

恐ろしげな姿をした男は名前を雑渡といって忍びを生業にする男である。子供の方は伊作という名の少年で生まれつき頭が弱く、荒れ屋に閉じこめられるように暮らしている。
子供が寝入ってしまう夜に雑渡は仕事に出かけ、子供が目を覚ます朝辺りに帰ってくる。



 ところで伊作は大層姿が愛らしかったので、山に迷い込んだ村の若い男たちが頭の良くない様子の伊作を見て悪さをしようと考えることが多々あった。
雑渡は伊作を大変大事にしていたので、近づいてくる男たちを片っ端から殺して山に捨てていた。




ある晩のことである。

山に獣を狩りにやってきた留三郎という若い男が伊作の住む荒れ屋を訪ねてきた。
道に迷って一晩宿を借りたいという。

伊作はしげしげと留三郎を眺めた。近づいてくる男は雑渡が殺して捨ててしまうので、伊作はこんな近くで若い男を見るのは初めてだったのである。それに留三郎は大変綺麗な顔をした男だった。


「朝が来るまでに帰るのならいいよ
だけど朝か昼には怖い人が帰ってくるから逃げないと駄目だよ。」


 留三郎を一目で気に入った伊作はそう応えた。

 伊作は大層愛らしい姿であったので、留三郎はその晩伊作を抱いた。
留三郎は伊作のことをなんて可憐で汚れを知らない人間だろうかと思って愛しく思い、こんな山小屋は捨てて自分のものにならないかと口説いた。伊作のこの男の方がもっと自分を可愛がってくれそうだと思ってその白い手を握らせたのである。

それから留三郎はまた夜に伊作を迎えに来る約束をして一度帰っていった。



ところが伊作は頭が良くないのである。その昼、帰ってきて伊作を抱き寄せて接吻をしている雑渡に、裸の腕を絡ませながら伊作は尋ねてしまったのである。


「雑渡さんのセックスは時間がかかるんですね。それに若い人は乱暴なんですね。少し痛い思いをしました。ねぇ若い男の人はあんなに綺麗なものなんですね。」



雑渡はそれを聞いて怒りに顔をくしゃくしゃに歪めたのである。


「嗚呼、売女の子供はやはり売女か。」


雑渡は妻だった女が余所の男との間に作った伊作という子を我が子の様に大事に育ててきたのである。妻だった女を殺してしまってからも、雑渡は女を愛していて、女にそっくりに育った伊作を愛していたのである。

雑渡は泣き喚いている伊作の髪を掴んで引きずって外へ連れ出すと裸のまま山の斜面から突き落として捨ててしまった。


 さて、それを知らぬのは留三郎である。
留三郎は夜になって山の荒れ屋を訪ねてきて、待ち伏せていた雑渡に顔の皮を剥がされ片目を抉られて全身に火をかけられて、伊作と同じに山の斜面に捨てられたのである。
そんな様子で留三郎は奇跡的に生きていた。

 顔の判別も付かないほど傷つけられて片目を潰して、瀕死の風体で転がってきた留三郎を見て伊作は嬉しそうに声を上げたのだった。




「雑渡さんどうしたんですか、僕が居ないから包帯が巻けなかったんですね。ごめんなさい。もう知らない人をおうちに入れたりしませんから、許してください。一緒に帰りましょう雑渡さん。包帯を巻いてあげます。」




 山の森の奥に小さな荒れ屋があった。
そこには全身の傷を包帯で覆った大変恐ろしい姿の男と、柔らかな蜜色の髪の毛を長く伸ばした優しげな様子の子供が住んでいる。

 
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