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▼こーちゃん
部屋に置いている骨格標本を、伊作は真剣に愛しているらしい。
こーちゃん、と名付けているその標本を手入れしている最中に伊作は我慢できずに柔らかな唇を押し付けたりする。本人は接吻のつもりである。
同室の留三郎は根が優しい人間なので伊作の目にこーちゃんが魅力的な女の子に映っているなら、それは否定しないで伊作の世界を壊さないでやろうと思っている。
縦しんばこーちゃんが男でもそれはそれで良しとしようと思っている。
ところが伊作はこーちゃんはそのどちらでもないと言う。
「…こーちゃんは無機物だよ、留三郎。」
当然のことを当然のように伊作が言うので留三郎は肩透かしを食らった気分だった。
「ああ、でも女の人の標本が男の人のかって言ったら骨の太さとか長さとかで男の人なんじゃないかなぁ」
どうなんだろうね、と伊作がこーちゃんに向かって首を傾げるとこーちゃんが歯を鳴らして返事をした。
伊作がそのように手で動かしているだけであったが。
「お前さぁ、その無機物だと分かってるこーちゃんの何が良いんだよ」
こーちゃんに擬似的に人間を重ねているわけではなく、無機物としてのこーちゃんに恋するという感覚は
もはや留三郎には理解しがたい感覚であった。
「無機物だからいいんじゃないか。こーちゃんは僕に優しくも愛してもくれないから、僕は見返りを全く期待せずにこーちゃんを愛せるんだよ。」
純愛じゃない?
等と少し恥ずかしそうに抜かした伊作に留三郎は諦めたようにため息をつくのだった
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