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いい加減、君邪魔だなあ。
雑渡はそう言って食満を眺め下ろした。食満は雑渡の喉元にクナイを突きつけている。
「でも、君それ、刺さないでしょ?伊作くんに駄目って言われてるから」
私もだけどね。と雑渡は笑った。
雑渡は伊作に妙な興味を持っていて度々自分の下に来ないかと誘惑しに訪れているのだが、どうにも伊作と同室の食満留三郎が邪魔をするのが煩わしくてならない。
殺しちゃおうかな。
そう伊作に呟いたこともあったが、「殺しちゃ駄目ですよ」と平然と釘を刺されてしまった。
しかしそれは自分に凶器を突きつける食満にしたって同じなようで、互いに殺気を振りまきながら無傷の日々が続いている。
「君みたいな子供ね、簡単に殺せるんだよ?君から手を出してきましたって言って殺しちゃってもいいんだよ?」
で、相手の実力も計れない程、君は未熟なのかな。
雑渡が嫌な笑いを浮かべた。
食満もそれに少し笑う。
「実力如何はこの場合関係ねェよ。」
不遜に笑った少年を雑渡は内心馬鹿にした。がそれも次の台詞を聞く迄である。
「アンタが俺を殺したらアイツはアンタを許さないけどな、
俺がアンタを殺してもアイツは俺を許してくれるさ」
「…それは、確かに負けるねェ」
だろう、と笑った食満に苦々しく微笑み返して、雑渡は今日のところは引き下がることを決めたのだった。
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