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→答え合わせ/コーちゃんの秘密・回答編 雑伊


▼答え合わせ
 


長い過酷な仕事に出ていたので男は疲れ切っていた。

三年越しの隠密活動を終えて男はやっと城に帰れ、また無事に帰ることが出来れば自分はその他城勤めの忍びを束ねる組頭になるのだった。
こんな長く拠点を離れる現場仕事も男にとっては最後になる。

拠点までの道中には二十日程を要す。
山を越えていく途中で男は捨て子をみつけた。これまでいくつかの村を通り過ぎていたので捨て子をみつけるのは初めてではないし、男はそれを全部、ふぅんそう、と心の中で思うだけで通り過ぎていたのだが今回限り男は足をとめた。

そして子供を拾って歩き出した。

なぜかというとそれはその子供が他の捨て子など比べ物にならないほど、綺麗で可愛らしい顔をした男の子であったからである。

かといって男が稚児を欲していたわけではなく、そういう子ならばこの先の町でそれなりのお金に換えられることを男が知っていたからであった。金は道中とても役に立つ筈だった。
捨て子は不思議そうな顔をしたけれども騒ぐことなく黙って男に従って歩いてきたので男にはとても助かった。

さて、山を越えて町へ出るにはもう日は落ちかけていて、たまたまあばら屋のひとつをみつけたこともあり男と子供はそこで夜を越すことにした。
子供は泥だらけでなにやら臭く、蝿がたかっている始末だったのでいくら顔が可愛くてもねと男は近くの川に水を汲みに行った。洗って奇麗にしてやって少しでも町でもらえる金を増やそうと思ったのだ。

それがよくなかった。

男はそこで追っ手に鉢合わせて、傷を負った。それは限りなく致命傷に近いものである。
それでもなんとか追っ手を振り切って男はあばら家に帰りついた。子供はそれをみてきゃっと小さく悲鳴をあげると外へ駆け出していった。男はもう身動きも取れなかったのでそこで死ぬのだろうと思い意識を失った。



男が目を覚ましたのは明け方のことである。

男は奇妙なほど達者に手当てをされた自分の身体と自分の傍らに鎮座する子供の姿をみてただただ目を丸くした。

「僕もよく怪我をします」

驚いた顔をしている男に子供はそう言った。男は子供の声をそこで初めて聞いた。存外賢そうにしゃべるじゃないかと思った。
妙に小慣れた治療の術は自分がよく怪我をするためなら、この子は一体どれほどの怪我をしてきたのだろう、とも思った。

それから何日も男は子供の手当てを受けながらその小屋で暮らした。
平和であったのはその短い間のみである。

あるとき子供が傷薬をもってきた。
それはまだしつこく男を狙っていた追っ手が子供を騙して持たせた劇薬であったので、それを塗られた男の肌は焼け爛れ七転八倒の苦しみを味わった。

男は水を求めて布団から這い出した。子供はいつの間にか姿を消していた。男が戸口間近まで来たあたりで小屋が燃え始めた。

男は子供が自分を殺そうとしたのだと思い、怒りやら悲しみやら恐ろしさやらに心を淀ませた。炎にやかれて男の肌はもう見るも無残な恐ろしい風体になってしまっていたが男は外へ這い出た。

「もう二度と誰も愛するものか」

男は燃えている小屋に向かって呟いて始めて自分が子供を愛していたことを知った。男は山道をまた一人で歩いていく。


ところで、小屋の中には骨がひとつ残されている。後日少年が拾うことになる骨である。

 燃えている小屋の中には子供に毒を渡した男が居た。事の首尾を確かめるべく小屋の梁の上に潜んでいた男は焼け落ちた小屋の屋根に潰されて死んでしまった。


 その骨を今も子供は自分の罪と思って大事に持っている。




無理があった・・・。
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