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私は生まれ変われるなら雷蔵になりたいなあ
三郎がおかしな独り言を言っている。三郎のおかしな独り言は大概受け流すことと僕は決めているので返事はしない。
三郎は本を読む僕の背中に背中を重ねて時折退屈そうに身体を揺らしている。本を読むのには邪魔だったけれど背中はぬくいので僕はそれも放って置く。
ああ、でもなぁ。やっぱりそれはやめるとしよう。
三郎は呟いた。僕になりたいなんて馬鹿な考えだと気づいたんだろう。
僕はなんとなく気分が乗らなくなって読んでいた本を閉じた。
だってなぁ、そうしたら雷蔵を抱きしめたり抱きしめられたり出来ないものなあ。
「ええ?」
無視を決め込んでいたのに僕はうっかり三郎の独り言に返事をしてしまった。
三郎は僕の方を振り返って、ふふふと嬉しそうに笑うとほらやっぱりこの方が良いだろう、といって僕を抱きしめるのだった。
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