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不純物 鉢雷



▼不純物




 気がつくとなにもない世界に私は居た。

何もないというのは文字通り何もないわけで、人や獣は愚か地面も空もなにも無い世界で、そんな世界をどうやって歩いたのか私は雷蔵を探していた。

     

何もない世界の中にも雷蔵はいた。

それはそうだとも。なにがあろうと雷蔵がいない世界なんてあってはならないのだ。

     

近づいていくと雷蔵が泣いている。

私は慌てて何故泣いているのか尋ねた。すると雷蔵は丸い目を大きく見開いて綺麗な涙をポロポロ零しながら、ああ何を言っているんだ三郎、と言うのだ。

     

「僕たち以外世界になにもなくなってしまったんじゃないか」

     

ああ何を言っているんだ雷蔵。と私は思った。

世界に二人だけなんて、なんて素敵なことだろう。なのに何故君は泣いている?

分からないなァ、

     

     

     

     

     

「…という夢をみたんだよ、雷蔵」

     

     

     

     

三郎は首を傾げてうーん、と唸って僕に尋ねた。

     

「なんで雷蔵は泣いていたんだろう?」

     

真面目に聞いているようなので僕も首を傾げてうーん、と唸った。

     

「分からないなァ、僕は世界からお前と僕以外が消えてもちっとも構わないよ」

     

ところで、お前の夢の中の僕は優しいねぇ・・・。

     


     

     

08/11/2

Imagesong:プラスティックトゥリー「不純物」

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