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と、愚か者は思う※/性描写あり 鉢雷


▼と、愚か者は思う



 
 私は不破雷蔵が好きだ。大好きだ。
朝が来て隣に雷蔵がいるのをみつけたときでも、夜が来て隣り合った布団の中で雷蔵の微かな寝息を感じるときでも、私の胸は幸せで張り裂けそうに痛むから、だからもう間違いない。
私は雷蔵が大好きだ。

大好き過ぎていっそ雷蔵になってしまいたい程だ。
いや、それは図々しいからせいぜい雷蔵の細胞の一つでいい。なんでもいい。雷蔵と同じものになりたいなあ。


「なぁ雷蔵」


私は布団に寝そべりながら雷蔵の背中に声をかけた。雷蔵は寝る前に読んでしまいたい本があるとかで、蝋燭を灯して机に向かっている。


「ああ、ごめん。眩しかった?」


 雷蔵は私が蝋燭の明かりに眠れずに居たと思ったらしい。そんなことはない。生真面目に背筋を正して書物に向かう雷蔵の背中を見ていたかっただけだよ。
でも何も言わずに居れば雷蔵が蝋燭を消して、本を閉じて、私の隣にやってくるかもしれないから私はちょっと微妙な顔をして黙っている。

すると雷蔵はやはり蝋燭を消して本を閉じた。

万歳!それでこそ私の雷蔵だ!
等と私は勝手なことを思いながらがばっと布団を跳ね上げて、きちんと正座して、雷蔵がこちらへ歩いてくる・・・と言っても2、3歩の距離だけども、まぁそれを両手を差し伸べて待っていた。


「それじゃあ子供みたいだよ、三郎。」


雷蔵が呆れたように笑う。成る程、確かに抱っこをねだる子供のようだね。
でも子供と違っていることに私は雷蔵に抱き締められたいし抱き締めたいし、更にはなんとキスだってセックスだってしたいのさ。

思惑どおり私の腕の中にやってきた雷蔵は緩く私を抱き締めるので私はその雷蔵をぎゅうぎゅうと抱き返す。


「雷蔵、触ってもいいかい?」
「もう触ってるよ」

雷蔵は首を傾げて不思議そうに笑う。おかしなことを言うね、と思っているのだろう。いや、こんなものでは満足出来ないよ。

「もっとだよ」

私が雷蔵の肩口に鼻先を埋めてそう言うと、意図を掴んで雷蔵の纏う空気が僅かに緊張したのが分かった。
暗いから見て確かめることは出来ないけど、今頃多分この首筋から耳まで赤く染めているのだろう。そう想像して愛しい。


「雷蔵、お願い」


私の「お願い」は君に7割りくらいの勝率を誇っている。加えて強張る背筋を宥めるように撫でてやって、耳元に息を吹き込むように名前を呼べば、事態は殊更、私に有利だ。

「雷蔵」


少しの沈黙のあと、伏せた睫毛をふるりと震えさせて囁くように、いいよ、と呟いた雷蔵の可愛い唇に私は襲いかかるように口付ける。
途端にうわあ!なんて色気の無い悲鳴が雷蔵から上がった。
なんだ、往生際が悪いぞ、雷蔵。
私は笑って、二人で布団の上にもつれ込んでいく。



ああ、私は雷蔵が大好きだ。

溶けて混ざって同じ物体に同じ物体になってしまいたいと本気で思うほどだ。本当にそうなれはしないかと私はいつも考えては試している。
例えば、毎日毎日雷蔵のフリをしていればどうだろうか。けれど今のところ私が雷蔵本人になってしまうなんてことはないようだ。
 例えば互いの隙間などまるで無いほどにベッタリと張り付いて、一つになれるまで待つというのはどうだろうか。しかしこれはある程度のところで雷蔵に迷惑がられてしまった。
 まぁこれは私と雷蔵が死んで腐って水になって分解されてしまうまで張り付いていられればあるいはと思う。
例えば、口付けを交わしてはどうだろう。幾千、幾万と唾液の交換を続けるうちにいつか中身が同じな2つの物体になりはしないだろうか。そういう考えなら身体を交えるのでも良い。ああ、そのほうが効果がありそうだ。迷惑がられない程度にコツコツと続けてみようか。



多分意味が無いことは分かってるけれど何かしてみずには居られない。


 薄く開いてる上下の歯の隙間から舌を割り込ませて、口内の粘膜の中に侵入を果たす。舌先に触れた無機質な固い歯の感触にだって、雷蔵の一部だからぞくぞくしてしまう。
 舌を絡めて貪ると雷蔵もそれに応じて口を開いてより深く口付けられるよう首を傾けた。
ちゅっ、ちゅっ、と湿った音が口の中で少しくぐもって聞こえる。
雷蔵と私の唾液が混ざりあってたてている音だと思えば雷蔵と同じものになってしまいたい私を高揚させる。

唇を離す頃には私も雷蔵もすっかり息が上がってしまっていた。夜着の袷を開いて素肌を撫でると雷蔵の肌はうっすらと汗をかいて火照っている。
首筋を舐めると塩辛い。鎖骨に歯を軽く立てたり柔らかい喉元に吸い付いたりして遊んでいると雷蔵は緩く首を振って逃げようとする。

「・・・擽ったいよ、三郎」


緩く手で押し返して言う雷蔵の顔が可愛いから更にしつこく唇や舌で首や鎖骨や耳なんかを擽っていると、ジタバタと暴れる。…そんなに嫌がられると悪戯好きの私としては燃えてしまうよ、雷蔵。
項の髪の生え際辺りを指先で円を描くように擽ってみたり、耳の端を咥えてみたり、息を吹きかけてみたり、思いつくままに試してみると、雷蔵は首をすくめて背筋を震わせる。


「んっん!っふ、あ!」
「・・・本当に擽ったいだけ?」

 妖しげに身を捩ってちょっと色っぽい声など出すものだから調子にのって聞いてみたら、きっ、と雷蔵は眦を鋭くして私の肩口に顔を埋めるからどきりとする。
と思ったら首筋にちゅう、と雷蔵の唇が吸い付いてきて頭が真っ白になった。

「っ、ひ!」

 なんてことをするんだ。ほらみろ変な声が出たじゃないか。いや、あんまり見ないでいい。顔が赤くなっていたりなどしたらみっともない。
 雷蔵は意趣返しのつもりなんだろうか、首筋に吸い付いて舌を這わせて柔らかく歯を立てて、時折どうだと言わんばかりに上目で私の顔を窺って笑う。もういっそ心臓が痛い。
口付けの痕を落すことに夢中になり始めたらしい雷蔵が私の首から徐々に下降して唇を押し付けるのを、好きなようにさせたまま、私が雷蔵の腰から下へ手を滑らせていくと、雷蔵はハっとした顔になって膝を摺り寄せて閉ざしてしまう。
肌蹴てしまってもう適当に引っかかってるだけの襦袢の割れ目から差し入れた手で、膝の裏から太腿にかけてゆっくり撫でるとひく、と雷蔵の腹が痙攣した。太腿までなぞった指を、今度は下帯の上に持って行って布越しにそっと握りこむとそこは既に緩く持ち上がっていて嬉しくなってしまう。

「雷蔵、感じてた?」

雷蔵は恥かしいのか怒ったのか微妙な表情で唇を噛む。私はそんな雷蔵の顔を穴が開くほどに凝視して緩々と手を動かす。

「あ、あっ・・・さぶろ、待って」
「うん?」

少し俯きがちで口ごもってる雷蔵を促すともう脱ぐから、と呟いて右手でそっと私の身体を押し遣る。するすると下帯を解く潔いやら積極的やらな雷蔵に見蕩れていると咎めるような雷蔵の目とかち合う。

「三郎も、」

ぐいっと若干乱暴に、なのは照れ隠しか、襦袢の合わせを引き開かれて自分だけまだしっかり着込んでいたことに気づいた。なるほどそれは不公平だ。
着ているものを互いに全部取っ払ってしまって改めて身体を寄せ合う。
雷蔵の身体をそっと布団に押し倒していくと一瞬心許なさそうな顔をした。

「ゆっくりするから」
「…いいよ、初めてじゃないんだから」

宥めるように囁くと雷蔵が気遣われすぎに拗ねた様な声で言った。それに私は軽く笑って謝ったけれど、それでも雷蔵を傷つけないように慎重に行動するつもりだった。
 膝を立てさせて、舐めて唾液で湿した指を固く閉じている雷蔵の入り口に這わす。円を描くように周辺を撫でてそれからそっと指先に力を入れると第一間接くらいまで指が飲み込まれる。そこを軸に広げていくように指を回して少しずつ解していく。ある程度のところで指を抜き出して、口に持っていってもう一度唾液を絡めて、今度は指一本全部を埋めてみる。
上向きにして内壁を引っ掻くとびくっと身体を跳ねさせて顕著な反応を返した。内側をゆっくりとかき回して、緩く指を抜き差しする。暫く続けて、指一本が優に動き回れるほど解れてから指を2本に増やしてまた繰り返す。

「んっ・・・や、だ…。三郎、も、はやく…」

指が3本入る頃には雷蔵は眼元を赤く染めて腰を揺らして強請り始めていた。
熱っぽく潤んでる目尻に口付けて、それから足を抱えて割り開き、ゆっくりと自身を埋めていく。十分に解れているそこは容易に全てを飲み込んでしまう。内壁が蠢いてきゅっと中が収縮したのがいやらし気だ。

 そうっと雷蔵の顔を窺いながら動き始める。激しく抜き差しするようなことはまだせずに、擦られると雷蔵が息を呑んで善がる箇所ばかりを狙って、軽く腰を揺する。
すると歯を食いしばっている雷蔵の唇は次第に解けてきて、荒い息を吐き出す合間に泣くような強請る様な声が零れていく。

「はっ、あ、・・・あぅっ」

固く瞑った雷蔵の目から透明な涙がつっと零れる。苦しいのだろうか。だけど雷蔵の触れてもいない前からはとろとろと蜜が溢れて、時折零れる声だって鼻に掛かって酷く甘いものだから感じていないわけではなさそうだった。

「気持ち良い?」

ちょっと心配になって聞いてみる。そんなことをきいたら雷蔵は怒るだろうかと思ったら首をこくこくと振ってしがみ付いてくる。

「いい、・・・きもちいい、っ」

殆ど涙声みたいな甘ったれた雷蔵の声はすごくいやらしかった。ごくりと思わず喉が鳴る。
片足を掴んで抱えなおして腰を奥へ押し付ける。ひゅっ、と雷蔵の喉が鳴った。揺さぶる動きを追い上げるような激しいものに変えていくと抱えられて宙に浮いてる雷蔵の爪先がピンと反っていて限界が近そうだと分かった。

「っああ!!」

 弾けるみたいな甲高い悲鳴。
雷蔵の背がびくっと跳ねて、白い精液が飛散った。きゅうっときつく収縮する雷蔵の内部に私も堪らず一緒に吐き出した。ぐったりと力なく横たわって浅い息を吐いている雷蔵。ゆっくり抜け出すと、ひくひくとまだ痙攣している雷蔵の足の付け根からどろっとした白濁が伝って零れる。

 雷蔵の中に精液をぶち撒けた所で私の何が残るわけでもなく、無駄に不快感を与えてはこうやって排泄されるだけだ。

私は当たり前の現実にふと我に返って、性交によって雷蔵とひとつになれるなどと馬鹿な考えを起こしたことに罪悪感を感じ始めた。

失敗した悪戯の後始末をするように緩んでる入り口に指の先を入れて広げるようにくっ、と力を入れるとぐったりしていた雷蔵の身体が跳ねて、驚いたような顔が此方を見た。


「ああ、済まない雷蔵。中に…。大丈夫、雷蔵は寝てて良いよ」

私は変な罪悪感を無かったことにしてしまいたい一心で雷蔵の中のどろどろを掻きだしてしまうことにした。
人差し指を奥まで差し込んで、外側に掻き寄せるように動かす。

「そん、な…やっ、…三郎、いい、自分で…」

雷蔵はなにか押し留める言葉を言いたかったようだったけど、途中から殆ど喘ぎ声になってしまってよく聞き取れなかった。私は妙にムキになってしまって、雷蔵がガクガクと身体を震わせて悶えているのを無視して執拗に残滓を掻きだすことに没頭する。
私がようやく気が済むまで雷蔵の中を綺麗にしてしまって顔を上げた頃には、雷蔵は目に涙を浮かべて頬を高潮させて酷く色っぽい様子になっていた。呼吸に合わせて波打つ腹の辺りに大量の精液が散っているのはもう一度達してしまっていたらしい。指を引き抜くと同時に糸が切れた人形みたいにがくりと倒れ伏してしまう。

なんだか益々申し訳ないようだ。


 指を汚している粘液と気だるげに布団に伏している雷蔵の裸の背中を眺めていたらきりきりと締め付けるような痛みが胸を走った。
どうして私はこんなにも雷蔵が好きなんだろう。好き過ぎて雷蔵のことを思うと思考が常人では居られなくなってしまう。

 本当は私は試してみなくとも、雷蔵は口付けをしても身体を交えても100パーセント混じり気なしに雷蔵で、そこに私の入り込む余地なんて無いことがちゃんと分かっているんだ。
で、混ざり合わないなら身体を繋ぐことが無意味かというとそうでもなく、それで満たされる気持ちがあること。現状は最高に幸せだと分かっているんだ。分かっているんだが、しかし、自分でも仕様のないことにね、

 指を口元に持っていくと青臭い匂いがした。雷蔵の中に入ってった私の体液。拭くものを探すのも面倒くさいからぺろりと舐めとって掃除してしまう。
 例えばこれが雷蔵の精液だったら雷蔵の何かが私と一緒になったりしないだろうか。
ああ、ほらみたことか。そんな馬鹿なことをまた考えている。仕方ないんだ。私は雷蔵が大好きだから。


「三郎」


呼ばれてぱっと顔を上げると雷蔵がこちらに襦袢を放った。見れば雷蔵はふらふらと辛そうにしながらも、もうきちんと身なりを整えて自分の布団に潜り込むところだった。慌てて放られた襦袢に袖を通すと、雷蔵が自分の隣のスペースをぽんぽんと叩いてまた三郎、と呼ぶ。

「・・・そっちの布団、汚れちゃっただろう?狭いけど文句言うなよ」


なるほど、私の布団の上でイってしまったわけだからそれはそうだろうね。シーツの端と端を巻き上げて丸めて置いてあるのはとりあえずこれはこれで明日洗おうということらしい。私が雷蔵の細胞を吸収する方法を考えているうちに雷蔵は明日の洗濯の予定と今晩は布団を共有して寝ることを考えていたようだ。

参ったなあ。もう馬鹿なことを考えるのはよそうと思うよ。

ホラ早く、と雷蔵が招くから私はさっと雷蔵の隣に滑り込んでそれから雷蔵の背中に腕を回してぎゅうぎゅうと抱きしめた。雷蔵はぎゃあ、とか短く叫んだ。


「も、もうやらないからね!」
「分かっているさ。こうやって寝るだけだよ…雷蔵のえっち」

最後の言葉は鉄拳でもって制裁された。
そこでいよいよ大人しく眠ることにして雷蔵の胸の辺りに鼻先を押し付けて腰を抱き寄せて眼を瞑る。雷蔵の手が子供を抱くように私の頭を抱きこんだ。おやすみ、と声が落ちてきて私は雷蔵の匂いと幸福感をいっぱいに吸い込んだ。

このまま密着して眠って、明日目覚めたら雷蔵とくっ付いちゃってたらいいのに。

なんて、また、性懲りも無い。

私はどこまでも愚かだ。







08/11/8
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