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(40)泡姫/現パロ。仲良くお風呂。鉢雷

※現パロ双子。いつもの感じです。

 

 曇りガラスの浴室のドアが開いて、お背中お流ししますー、なんて軽く三郎が入ってくるので俯いて髪を洗っていた真っ最中の雷蔵は取り合えずシャンプーのボトルを後ろにぶん投げた。がつん、と固い音は三郎が頭を引っ込めて扉を一度閉めたからである。
雷蔵はその隙に頭からお湯をざぶっと被って浴槽に飛び込む。浴槽の淵から頭だけ覗かせて、結構です、と固い声で答えるとそろっと開く扉から三郎が顔を出す。

「いいじゃないか、一緒に風呂ぐらい。取って食やしないよ」

やましい目をする三郎は素っ裸に一応腰にタオルを巻きつけた格好で入浴準備も万端である。雷蔵はざぶりと肩まで湯に浸かって溜息を吐く。三郎の所為でわざわざ入浴を切り上げるのも面倒くさかったのである。

「大人しくしてるんだよ」
「はいはい。…ね、本当に背中流してあげるよ。」

 三郎は嬉しそうにはしゃいでいる。雷蔵が首を振って素っ気無くするとちょっと寂しそうに眉を下げたものの大人しくシャワーのノズルを取って身体を流しはじめた。湯気が立ち込めて浴室が白く曇る。
 三郎が大人しいから雷蔵は浴槽の淵に肘をついてそれを眺めていた。雷蔵と殆ど変わらない背丈に成長している三郎は雷蔵より少し細身で腰や肩の骨がくっきり目立つ身体つきをしている。けれど貧弱なわけでもなくて必要なとこだけ綺麗に筋肉の付いた身体は猫科の獣のようにしなやかだ。
三郎の裸なんて本当にほんの子供の頃以来見てやしないから感慨深かった。

「すっかり色っぽくなっちゃって」
「ぶっ、雷蔵。それ親戚のおっさんみたい。」

深く考えずに感想を漏らすと三郎はけらけら笑って髪を掻き上げ色目を作る。見蕩れた?なんて聞くので雷蔵はノズルを引っ手繰って三郎に頭から湯を被せた。きゃっきゃっとはしゃぐ声が今日は懐かしい。昔は何も考えてなかったから風呂も一緒に入ってた。

「おいで。洗ったげる」

雷蔵は浴室の中で膝立ちになって三郎が傾けてくる頭に湯を掛けて髪をかき回す。

「雷蔵、今日優しいね」
「お前が良い子にしてたらいつでも優しいよ」

さっきはぶん投げたシャンプーボトルのポンプを二、三度押して湿らせた髪を泡立ててやる。何度か珍妙な色に染色されている三郎の髪は今はアッシュグリーンで少し傷んでいて雷蔵は自分のとは違う髪の手触りに違和感を覚える。14,5歳の頃、三郎が取り憑かれたように増やしていた耳に空いてるピアスの跡なんかもそうだ。
折角同じ姿で生まれてきたのにあんまり弄り過ぎじゃないか。雷蔵が指摘すると三郎は得意げに笑みを零す。

「私は雷蔵に別個の人間として意識されたいんだ」
「三郎はいつも難しいことを考えているね。」

ざぁっとお湯で洗い流してやると、ぷるぷると犬の様に首を振って三郎が湯を巻き散らかす。

「別に難しいことじゃない。私はいつも雷蔵のことを考えているんだよ」

言うなり、まだぽたぽた頭から水を滴らせたまま三郎が狭い浴槽に一緒に飛び込んでくるので雷蔵は慌てた。
向かい合わせにざぶんと身を沈めて三郎は湯の中で雷蔵を抱き寄せる。溢れかえった湯が浴槽を溢れてざあざあと排水溝へ吸い込まれていく。雷蔵は三郎の濡れた頭をぺちりと叩いて叱った。

「全く。…ちゃんと10数えるんだよ」
「雷蔵はすぐ私を弟扱いする」

不貞腐れてみせながら嬉しそうに目を細める三郎の本質は身体が成長してもあまり変わらない。もう10数えるどころでなく湯に浸かっている雷蔵は少しのぼせ始めていた。

「お前が子供だからだよ」

シャンプーの匂いのする三郎の頭を撫でて雷蔵は呟いた。







泡姫…ではないけど洗ってあげたからまぁいいかと

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