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なんでこんなことしてるかって僕らがひとえに若いからだ。
僕と留三郎は携帯をカチカチ弄って、アダルトサイトの片隅の雑学コーナーから体位四十八手の詳しいやり方を勉強中だ。なんでって僕ら子供と呼べるくらい若くて色気づいてて馬鹿だからだ。
訳のわかんない技名みたいなセックス方法を読み上げてはけらけら笑えて、ついでに側に居る相手同士で実践してみちゃえる位に僕らの頭は中学生まっさかりなのだ。
夏だしね。リア厨、夏。
「ん、ぁ…」
暑い暑い。留三郎の部屋のエアコンは僕がお邪魔しますを言った瞬間から壊れて止まってしまって部屋は蒸し風呂状態だ。その上僕ら裸でくっ付きあって互いの性器なんか咥えているから大変だ。僕が喘いだら留三郎がさっと顔を上げて、伊作の負けって言った。
椋鳥とか言っちゃって所謂シックスナインの形態で僕らは四十八分の一を消化した。
なんでそこからって、どっちが女の子するかで揉めたからだ。先に女の子っぽく喘いだ方が下ってことになった。
「だって留三郎、無駄に器用だもん。ずるいよ。」
僕がごねても留三郎は知らん顔だ。携帯のiモードを弄りながらどうしようかなとか言っちゃって僕の上に乗ってくる。どうでもいいけどこのソファ、ベッドではないから成長期の男子二人で寝るにはちょっと狭いよ。
「よし、お前寝てるだけで良いから」
「何するの?」
ちゅっと留三郎が僕の鎖骨を吸った。首とか胸とか唇で挟んで吸って、下で舐められる。僕はくすぐったいなァなんて思いながら手持ち無沙汰だ。
「喘げよ」
「何で。気持ちよくないもん」
留三郎が真面目な顔で難癖つけるから言ってやった。そしたら留三郎は僕の胸に齧りついた。歯で挟まれた乳首がぴんって引っ張られる。
「んっ、ちょ…やだ!」
これはちょっと変な感じだった。口を離された後もなんかちょっとむず痒い。僕が留三郎の頭を押し返したら、留三郎は素直に引き下がってく。やっても別に下が濡れるわけじゃないしって。前戯っぽいものはあんまり種類が無くって僕はさっさと留三郎の前に足を広げて恥かしいところを曝け出すことになった。尻の穴を舐められて僕は正直相当引いた。
「う、わ、留三郎ホモっぽい…!」
「…お前今更この状況でなに言ってんだ」
くいっと人差し指をつっこまれて腰が引けた。首の後ろがざわざわする。
「ああ、う、…やだぁ…!」
ぐねぐねと留三郎が指で中をほじくっている。何これ、こういうのあるのって聞いたら無いって言う。
「あと突っ込み方のバリエーションが数パターンなんだけど、ぜってぇ、入んねェじゃん?」
広げてやる、とかいって留三郎は無意味に器用な指で僕の中をこねくり回す。変な感じだ。正直ちょっとなんか漏れそうって思ってしまった。僕はやだやだ言って暴れて、上半身がソファから床に転落した。頭を打つ。
「あうー、痛っい…」
「あ、お前これ出来んじゃん。立ち松葉。」
留三郎はぐいっと僕の片足を掴むもんだから僕はもう片足と腰半分くらいしかソファに乗ってない。ずり落ちそう。てかもう8割落ちてる。ぐりっと中で指を回されて腰が浮いた。あー、もう、落ちる落ちる。
「ひんっ…い、入れるの?これで?」
「そうらしい」
留三郎は自分で手で扱いて硬くした性器を僕の尻に押し付ける。僕は頭が逆さまだし血が上っちゃって頭が働かない。くらくらするよ。頭痛い。
「これ…本当はソファとかなしで、男の人が支えるんでしょ?」
留三郎が曖昧に頷いた。頭が逆さまだとしゃべるのもなんか大変だ。全体的になんかこうずり上がってきてる気がする。内臓とか血液とか。脳みそが内臓に押し潰されてしまう。横隔膜を突き破って。
「留三郎超楽してるじゃん」
「ははは」
はい、大爆笑。僕はね笑えないよ。頭に血が上って膨張して破裂しそう。ぱーんって。助けて神様。鼻血がでそうです。
留三郎は僕に突っ込もうとしてるんだけど、なんか上手く行かなくて性器の頭が僕のなんというか入り口のところでぬるぬるしている。ああ、やだ、ちょっとやらしい気分になってきた。あの指でかき回された感触。アレもう一回やって欲しいな。腰が疼く。
「は、う…留…とめぇ…」
「やべ、エロい」
留三郎はぎらって目を光らせて、一気に腰を入れてきた。もう一回ソファから落ちて頭を打ったみたいな衝撃。というか瞬間僕は身体がびくって縮こまって頭が浮いて、また落ちたから正確にもう一回頭を打ったのだ。
「あ、あ、あ、あ、あっ駄目、駄目ぇっ…!」
直腸がざわって動いてるのが分かってしまう。変な感じだ。全身に汗がぶわって出てきた。手足が痺れると思ったらこれは単純に血の巡りが変な所為なのだった。もう駄目。死んじゃうよ。
「ねぇ…。ねぇ、留三郎。普通にえっちしよう」
僕はもう堪らなくって留三郎に強請った。
本質を見誤っている。僕らはセックスしたくてこういうこと始めたんだっけ?だけどもうどうでもいいから、留三郎をせかしたら留三郎はあっさり阿呆なサイトを開いていた携帯を投げてしまった。
「まぁな、元々全部やるのは無理だと思ってた」
留三郎は僕をソファの上に引き上げたのち改めて押し倒して、仕切りなおし、みたいな空気を作った。ちょっとキメ顔みたいなのするのが留三郎の馬鹿みたいで格好良いと言うより可愛いところだ。
それは置いといて僕は元々無理、の意味を尋ねた。
「だってな、こたつが必要なのとかあんだよ」
「なにそれ、無理じゃない。」
真夏だよ、今。こんな状態で二人でこたつ入って熱があがるようなことしてたら多分死んじゃうよ。
僕ら凄く馬鹿だったんじゃないの、って聞いたら留三郎が馬鹿なのは僕だけだと言う。なんだ自分だけ。僕が睨んだら留三郎はそうっと僕の腰を擦る。得意気に細める眼がヤラシイ。
「俺は最初からセックスに持ち込みたかっただけだし」
嗚呼、それは。
「確かに僕が馬鹿だった」
止まってたエアコンががたがた動き出して、汗でベタベタの僕の頭にちょっとだけ冷たい風が吹いた。
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