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縄抜けの仕方を教わったと言ったって、あれは手首や胴回りを簡単に縛られている状況が前提だからこんな雁字搦めはちょっと解けない。
丸裸に剥かれてしまった僕の身体はあちらこちら縄で縛られて身じろぎだって出来やしない。畳んだ状態の膝は腿と膝下で縄が回されていて足を伸ばすことが出来ない。
身体の前で奇妙に菱型を作って組み合わさっている縄は腕を後手に縛っている縄と連動しているらしくって、手首を抜こうとしたら脇腹やら胸やらがぎゅっと圧迫されて嘔吐いてしまった。酷いことをしてくれる。肺が圧迫されているから呼吸をするのは少し必死にならないといけない。
おまけに妙な油を塗り込められた後ろの穴には木製の張形など突っ込まれているのだ。
「これで漸く全て私のものさ」
目の前で三郎が満足げな笑顔を引っさげてそういう風に言った。
三郎は僕のことが好きなのだ。三郎は僕の手を握るのすら怖そうにすることもあれば、こんな風に僕を捕まえて無茶をすることもある。三郎はどうしようもなく僕のことが好きなのだ。
だけどこんな達磨縛りにしてみたって犯してみたって僕の何だって三郎のものではない。そのうち思うとおりにならなくてしょげ返ってしまうのを知っているから余程正してやろうかと思ったけれど、口には細く捻った手拭が猿轡として噛まされていて声が出なかった。
「どうしてくれようか」
三郎が僕の内股を撫ぜる。
膝裏を通った縄が背に回った腕の縄に繋がっているから僕は三郎に対してさっきから股を開きっぱなしだ。はしたなくたって身動きすると締め上げられて痛いからどうしようもない。
張形をゆるゆる抜き差しされて、身体が跳ねてしまった。ぎちっと肌に縄が食い込む。
「んんう…っ!」
猿轡の所為で口から出る音は言葉にならないけれど、それがなくてもどうせ悲鳴ばっかでまともな言葉はしゃべれないだろう。僕は噛ませられた布が舌に触る味と息苦しさと異物感と、あと残りは快感で何度も吐きそうになった。
身体に力が入ると張形を締め付けてしまって、後ろが押し広げられているという感覚に首の裏がぞわっとした。
ともあれこんなやり方でも僕は少しは気持ち良いのだ。作り物の性器は雁首が高くってギリギリまで引き抜かれると穴の淵に引っかかる感じが堪らなかった。若しかしたら僕は淫乱の傾向があるかもしれない。布の奥で声にならず喘いでいたら、乱暴なくらいに中をかき回されて段々、良くって涙が出てきた。
三郎は、目を合わせようと探ったら、三郎は痛そうな目で僕を見ていた。
そらみたことか、三郎。お前は嗜虐やレイプで満足を得る種の人間ではないから、そんな顔をするのだ。お前はこんな業じゃちっとも善くなんかないだろう。僕は初めから分かっていたというのに、馬鹿な猿轡や拘束などの所為で僕はそこのところを三郎に教えてやることが出来なかった。
三郎はムキになって僕の身体の中を抉る。奥の一番良いところを突かれながら、張り詰めている性器の先端に爪を立てて尿道をこじ開けるようにされて意識が眩んだ。やめてくれ。お前に嗜虐趣味がなくても僕はそれで感じてしまう。腹がひく、と引き攣って僕は射精した。
「私は、」
三郎は僕の吐精でべったりの手のひらをみつめながら困惑した顔をしていて、次の言葉が後悔にしろ満足を示すものにしろ、僕は三郎を抱くことも殴ることもできないのが恨めしかった。
注:
ボンテージ:①性的興奮を得るための拘束行為、もしくは拘束を行うための道具
②また革やPVC製の衣服をボンデージと見なすこともある
①の方向で書きました。
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