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暑くてどうにかなってしまいそうな夜なのにまぐわったりするから本当に溶けてしまいそうだった。
僕はぐったりして汗でびしょびしょになりながら三郎を見上げる。三郎は夏が苦手で体力だって僕に劣るくせに僕に押し入って何度も腰を突き上げる。息が荒い。汗が滴になってぼたりと落ちる。顔を真っ赤にして死んでしまいそうだ。
「も、…もうやめ。…終わりにしようよ…」
口をきいたら零れる息の暑さで窒息しそうに思えてしまった。いつのまにこんなに高ぶったのか。まとわりつく空気が熱くて仕方ないのに中から気持ち良いところを揺すられて体温が上ってぐつぐつ沸騰する幻聴が聞こえてしまう。水が欲しい。三郎の頬を伝って顎のラインから落下しそうな汗を舌で掬って飲み込む。塩っ辛い。
「だって…、雷蔵が可愛いからやめられない」
「ふっ…お前、声、…掠れてるよ」
三郎の呼吸は喘鳴していて、目の焦点もなんだかおかしくて、疲労感が全身から滲み出ているのを感じるのに、夢中になって身体を繋いでいる。理性を無くしたら人は獣だよ。三郎は獣になって僕を食う。僕は死ぬんじゃないだろうか。それとも三郎が精魂果てて眠ってしまうのが先だろうか。
もう身体を繋いだまま二人して惰性で緩く腰を揺すっている。それだけですごく気持ちが良い。
「ん…あっつい…ね」
「うん、…溶けそうだ」
そろそろ限界を越えて脳みそから溶けてきた気がする。やめよう、と僕は自分で言いながら汗でベトベトの三郎の背中に手を回す。もう本当に可笑しい位お互いびしょ濡れなので、実際身体の表面が溶けてぐずぐずになっていたとしても僕は驚かない。
そしたら三郎は喜ぶのだろう。三郎は僕に溶けて混ざりたいと良く口にしている。
気持ち良いところをどんどん上り詰めて追求するようながむしゃらなセックスも僕は好きだけれどこんな風にいつまでも裸で絡み合っているのも多幸感があって脳みそはすっかりハイだった。意味もなく笑いが込み上げてくる。
「はは、は…なんか、…ふっ、このまま死んじゃいそうだね…」
「ふ、…君の中で死ねるのなら本望だよ」
嗚呼、この馬鹿め。すぐそんなことを言う。ちょっと気分が盛り上がってしまった。きゅっと繋がっている箇所を締め付けたら三郎は息を詰める。
「…ここで男を絞り取り殺すなんて真似、僕はしたくないよ」
そんな毒婦の様な僕は嫌だろう。
そう言ったら三郎はかえって興奮した様子で触れている体温がまだ一、二度上った気がした。熱い、暑い。溶けてしまいそうだ。
「「…あついね。」」
嗚呼、とうとうどっちが呟いたのかも良く分からなくなった。
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