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(36)排泄/※雷蔵がお漏らし。鉢雷


 午後の暇な時間をごろごろと過ごしていたらいつの間にか寝てしまったらしい。
雷蔵は日も落ちて冷たくなり始めている床の上でぱちりと目を覚ました。傍らには読みかけの本がページを開いたままで置き去りになっている。図書委員が本を粗末に扱っては怒られてしまうなぁ、と寝転がったまま本に手を伸ばしてずしっと腰の辺りに纏わりついている重みに邪魔をされた。
 

「うん…?」


 肩越しに振り返ってみるといつのまにやら三郎が背後から腰を抱くようにして一緒に寝ているのだった。雷蔵が腕の中から抜け出そうとすると、三郎は眉間に皺を寄せてぎゅうっとしがみ付いてくる。赤子のような男だなあと半ば呆れながら雷蔵は三郎をまとわりつかせたまま、散らかしっぱなしの本に手を伸ばしてみたのだけれど床を叩くばかりで届きそうも無い。

「三郎」

 とりあえず起きてもらおうと雷蔵は声をかけたのだが背中ですうすうと気持ち良さそうな寝息が返るばかりである。普段は眠りの浅い三郎があまり気持ちよく眠っているようだから、雷蔵は無理矢理起こすのも可哀想になる。溜息をひとつ吐いて暫く背に三郎を引っ付かせていることにした。



 けれどそれもほんの一寸の間のことである。


「……三郎、」


 再び遠慮がちに雷蔵は三郎に声をかけた。床も冷えているし、なんだか厠に行きたくなってきたのである。
三郎はちっとも起きる気配が無い。背後を手探りしてボサボサした髪の毛の感触を見つけて、それを緩く何度か叩く。小さく身じろぎした三郎はますます雷蔵の腰の下に回した手に力を入れる。

「うぅ…」

腹の下を圧迫されて薄ぼんやりした尿意が、急に緊迫感を帯びてくる。冷や汗を浮かべた雷蔵は三郎の手を振り解こうともがいてみるのだけど、大体本当に寝てるのかも怪しい力でしがみ付いてくる。
 両腕で輪を作って雷蔵の身体をがっちり捕まえている三郎の腕の中で、雷蔵はもそもそと身を捩った。身体を反転させて三郎の顔と向き合ったところで雷蔵は眼を丸く見開いた。


「おはよう。雷蔵。」
「起、きてるんじゃないか…」


がくり、と肩を落としながら雷蔵は三郎の腕から抜け出そうとして、やっぱり腰を抱かれて起きることが出来なかった。


「三郎、放してくれないか?」
「なんで」


もっと寝ていよう、と駄々を捏ねて三郎は雷蔵を抱きこんでいる。雷蔵は焦ってもぞもぞと内股を擦り動かした。


「いや、あの…厠に、行きたいんだけど」


 三郎がきょとんとしたので雷蔵はなんだか赤面した。八つ当たりに三郎の頭を叩いて、さっと立ち上がろうとしたのだけれど三郎は人の話を聞いているのかいないのかちっとも手を離す気が無いらしい。それどころか体重をかけて圧し掛かってくるので雷蔵は赤くなったり青くなったりする。


「私は今、君に引っ付いていたい気分なんだ」
「馬鹿っ、漏れちゃうよ…!」


漏らせば良い、と言って三郎は雷蔵の腹の下に手を置いて、ゆっくり圧をかけてきたりする。

「ちょ、…や、あぅッ…!」

 雷蔵は三郎の肩に手を突っ張るように置いて引き剥がそうとするのだが、あまり暴れても漏れてしまいそうなのだ。中途半端にもがいている内に下腹の圧迫感は我慢の限界を超えようとしていた。
雷蔵は肩で浅く息を吐きながら、言葉を発する余裕も無いらしくてあーとかうーとか呻いている。


「…よ、汚れるから、放して…っ!」


 最早、到底厠まで間に合わないと知って半泣きの体で雷蔵が叫ぶのと、袴の布地にじわりと濃い色が滲むのが同時だった。


「あッ…ああー…っ」

下帯と袴に染みながらじわじわと広がっていく水溜りに雷蔵はぎゅっと眼を瞑って顔を逸らした。三郎はといえばそんな雷蔵の背をあやす様にぽんぽんと叩いていたりするのが余計憎たらしかったりするのだが。

 雷蔵が我に返って烈火の如く三郎を怒鳴りつけるまでにはまだ時間が掛かるようで、三郎は雷蔵にくっ付いていたため濡れてしまった二人分の袴を見比べてどこか楽しそうに、洗ってこようか?等と手を差し出すのだった。





まぁ、あの…我慢&お漏らしプレイ、好きです。
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