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※現パロ。多分、双子かなんか。
玄関の扉を開いてすぐ、粗雑そうな男の罵声と三郎の只ならぬ声を聞いたから僕は慌てて扉を閉めて荷物なんかもその辺に放り投げたままでリビングへ駆け込んだ。正直暴漢にでも襲われているのかと思ったのだ。
ところが目に入ってきた光景に僕は予想とは別の意味で、頭を鈍器で殴られたようなショックを受けた。薄型テレビの画面いっぱいに男の性器が映っていて僕の顔が、というか三郎がそれを頬張っていた。
「な、なにこれ!」
僕は殆ど悲鳴に近い感じで、ソファにゆったりと座ってテレビ画面を眺めている三郎の後姿に声をかけた。顔に血の気が上っていくのが自分で良く分かる。おそらく僕は真っ赤な顔をしているに違いない。よく出来た合成ビデオであって欲しい。滅茶苦茶悪趣味な悪戯であって欲しい。
必死にお祈りしている僕を他所にへらっと笑って振り返った三郎はカップアイスなぞ食っていた。神経が分からない。
「えっちなビデオ」
三郎はテレビとソファの前のローテーブルに無造作に置いてある、平たいパッケージを軽く爪先で小突いて、ああDVDだけど、なんて言いなおしている。 100円ショップなんかで見かける16倍速データ用DVD-Rなんて表記のパッケージは、ホームビデオを焼いたりするようなもので、ようするにこのエロビデオだかエロDVDだかがAVメーカーで市販されているようなものでないことに僕は少しほっとした。
国内を顔を上げて歩けないような、そんなことにならなくて本当に良かった。
とはいえこの最悪なホームビデオ撮影に協力している人間が居るということは明らかなのでちっとも全然良いことなどないのだけれど。
「だって雷蔵主演のエロビデオ欲しかったんだもの」
怒りやら情けないやら恥かしいやら、色んな意味で真っ赤な僕に何食わぬ顔して三郎は言う。僕はもう涙が出てきたよ。ぐすん、と鼻を啜って取り合えず三郎の頭を殴っておいた。
「親の顔が見てみたいよ。…いや、親に顔向けできない…」
「うち親死んでて良かったね」
ちっとも良いことなんか無い。この、常識なんて落っことしてどぶに流してしまったみたいな三郎を僕一人の手で指導していくのは毛頭無理だ。途方に暮れてしまう。もう面倒くさい。
テレビ画面では相変わらず三郎が、僕の振りをしてというか、三郎の願望いっぱいの僕というのを演じて喘いでいる。取り合えずビデオ再生を止めてくれ。
「三郎、お前病気なんじゃないの」
「健康診断書見せてもらったし、自分で病院にも行ったから大丈夫」
病気感染したりしないよ、と言って三郎はアイスを食い終わった甘ったるい口で接吻を強請ってくる。
性感染は確かに怖いけれど、僕が病気を疑っているのはお前の頭だよ。
テレビのステレオが「おかしくなっちゃう」、なんて台詞っぽい台詞を吐いていて呆れてしまう。誰がそんなこと言ってやるものか。
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