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伊作は不安な気持ちで安いラブホテルのベッドに座っていた。伊作には大分年上の、しかも金持ちの恋人が居るからこういう如何にもチープな感じのホテルには普段あまり世話にならない。けれどあながち初めて来る場所というわけでもなくて、先週全く同じ部屋に伊作は泊まっていたりする。あのときは合コン帰りで可愛い感じの女の子が一緒だった。
伊作はそわそわとベッドの上から、物音のする洗面所の方へ視線を走らせた。
雑渡、という伊作とは倍くらい年の離れた得体の知れない男が伊作の恋人だ。得体の知れないと言うのは見た目もそうだし、職業や下の名前なんかもそうだった。
雑渡はその顔も含めて全身ケロイド状の傷を持っていて、全身を包帯で巻いている。伊作と会うたびに、ごく普通の高校生の伊作が目を剥くような高級なレストラン付きホテルを予約していたりするから金持ちらしいのだけれど、例えばどんな仕事をしているだとかは全く分からなかった。
そもそも伊作は雑渡と会って何をするかといえばセックスしかしないので、恋人なんて言葉を使ってみても雑渡のことは良く知らなかった。
その他に知っていることといえば、雑渡が偏執的に伊作を好きだということぐらいだ。伊作は嫌な感じがして身震いした。
「雑渡さん?」
伊作はそっと洗面所にいる雑渡に声をかけた。
いつもなら部屋に入ってまずバスルームに伊作を誘う雑渡は伊作をほったらかしで背中を向けているし、いつもは使わないラブホテルなんかに伊作を連れてきたのだって変だった。バレているのだ。この部屋で伊作が女の子を抱いたことが。伊作はごくりと唾を飲み込んだ。
「雑渡さん…」
「ああ、今消毒しているからちょっと待ってくれるかい?」
嫌な感じだ。雑渡の声は何気なかったけれど聞こえてきた台詞は途方もなく不穏だった。消毒、意味を想像し倦ねて嫌な汗が背中を伝う。
「あの・・・ごめんなさい!」
「うん?」
ようやく伊作の方へ向かってきた雑渡にすばやく伊作は謝罪を叫んだのだ。
雑渡は片手に小さな紙袋を持っていてかち、と金属の音が聞こえるのが恐ろしい。
雑渡は伊作の肩をゆっくりベッドの上に横たえると普段通りつかみ所のない笑顔を浮かべて、愛しげに伊作にキスをする。包帯の下から香るのか雑渡の体はいつも薬品臭い。
「・・・まぁ、女の子と寝たって私は気にしていないよ。不可抗力ってあるものだしね。君は顔が良いからモテるだろう」
伊作は蒼白な顔で雑渡を見上げた。やはり知っているのだ。
雑渡は伊作の着ているシャツを下から捲りあげて肌を撫で回している。伊作はぼそぼそと言い訳を呟いた。
「あの・・・僕、酔っていて、・・・あ、お酒も飲んじゃいけなかったんですけど・・・気がついたら朝で・・・」
「うん、君はまだ若いからね。そんなこともあるよ。」
雑渡は気にしていないふりをして伊作の肌を撫でる。
「・・・ところで君にプレゼントがあるんだ」
ぎくり、として身構えた伊作を知ってか知らずか雑渡は紙袋の中身をベッドに広げた。銀色の小さなフープピアスと、太い針の形をしたニードルピアッサー、それから最後に出てきた注射器に伊作は不安な目をして雑渡を見た。
「ピアスだよ、つけてあげよう。」
言いながら雑渡は伊作の胸の突起を指の腹でぐりぐりといじっていたので伊作はそのピアスとやらがどこに刺される物なのか理解した。ぞっと背筋が凍る。
「い、嫌です・・・怖い・・・っ」
麻酔だと言って雑渡が注射器を手にするのを見て伊作は弱々しく首を振った。
「大丈夫、似合うよ。それにここにピアスはめているような男と寝る気になれる女の子はいないでしょ」
気にしないと言いながら、雑渡は嫉妬深くって伊作がもう不実なことを出来ないようにしてしまうらしい。
きゅうっと強く乳首を摘まれて伊作は熱い吐息を吐いた。
きつく引っ張られて周りの皮膚が攣れる。
「あ、うっ」
「・・・伊作君はここが敏感だから少し痛いかもしれないね」
雑渡の言葉に息を飲んだところで、ぷすっと容赦なく針が貫いて伊作は悲鳴をあげた。
少し痛むどころか伊作にとっては確実に激痛の部類の衝撃で、伊作はその場で少し失禁した。
かたかたと歯を鳴らして震えている伊作を押さえつけてもう片胸にも注射針が刺さる。
「ひ、ああ”っ・・・!」
痛みに見開いた伊作の目からはボロボロと大粒の涙がこぼれていて、雑渡はそんな伊作の頭をあやすように撫でてやっている。
「ひっ、く・・・痛・・・ひっ、痛い、で、す」
「すぐ麻酔が利くからここからは痛くないよ」
すすり泣く伊作を宥めて、滅菌のパッケージを雑渡は歯で破る。取り出したニードルは太い注射針の様な形状をしている。
刺激に固く尖っている乳首を摘んで軽く引く。
伊作は身が竦んでしまって、ただ怯えた目で雑渡の指の動きを追っている。
針の先が、赤く腫れている乳首を水平に貫いた。
痛みは無いものの身体の内を針が通り抜けるずるっとした感触があって、気持ちが悪い。
針の終わりにフープ状のピアスの端があてがわれていて、針が乳首を抜けきるのに併せて、開いたばかりの穴にピアスが通る。球状の留め金をぱちんと填めて、それが左右揃うと雑渡はぐったりしている伊作にもう一度接吻した。
「雑渡さん・・・」
「ん?」
伊作はぐずっと鼻を啜り上げて雑渡の首の後ろに腕を回して甘えたりする。
「ごめんなさい、まだ怒ってますか?」
「最初から怒ってなんかいないよ」
嘘だ、と伊作は思ったが頭の悪い振りをして安心したように笑って見せた。
穴の開いた胸はずきずきと鈍く痺れたように痛んでいる。
「穴が安定したら、もっと可愛い奴を買いに行こうか。一緒に選ぼう。おや、ふたりで外に出かけるのは初めてだね。」
初デートだ、
などと嬉しがる男は伊作の真新しいピアスを緩く回して上機嫌なのだった。
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