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その日、諸泉は良くない仕事をした。
良くないに決まっているのだ。人を多く殺した。町を焼いたりした。こんなことをしたらまず間違いなく地獄に落ちるだろうと確信できる、女子供が見たら鬼畜外道の所業と震えるだろう、そんな仕事をした。
仕事に出ていたのは諸泉だけでは無かったが、諸泉はその場で上から二番目位多く人を殺した。そうしながらも諸泉は帰路に着きつつ平気で好物のせんべいのことなど考えていたから、きっと地獄に落ちるに違いなかった。
「血を落したら私のところへおいで」
忍び組連中が一まとめに放り込まれている大部屋で、諸泉がべとべとの頭巾を解いていると組頭である雑渡という男がそう声をかけてきたので諸泉は懐っこそうに笑って頷いた。死臭の染み込んだ服を着た男達の中でそんな風に子供みたいに笑うのは諸泉くらいである。雑渡は少し考えるように瞬きする。
「今すぐでも良い、」
すっと去っていく背中を言われたとおり諸泉は汚れた身体のまま追いかけたのである。
さて、その雑渡の部屋で雑渡は私を抱けるかと訊ねたので諸泉は馬鹿の様に首を幾度も縦に振っている。
「いいんですか、」
「好きにしたら良い」
こんな成りに勃つものなら、と浅く笑った雑渡の身体を殆ど飛び掛るみたいにして諸泉は床に押し倒した。
雑渡の身体は傷やら火傷の跡が酷くて、全身を包帯で巻いていて、片目は当の昔に潰してなくなっている。動く死体みたいな雑渡の身体が諸泉は好きだ。とても欲情するのである。
好物を鼻先に突きつけられた獣みたいな感じで諸泉は雑渡の首筋を嗅ぎ回って鎖骨に噛み付いて興奮に下半身を固くしている。
「好きにしていいんですか?」
期待に諸泉の目がギラギラとしている。
諸泉は今日良くない仕事をしたのである。人を殺したりした。鬼畜外道の所業を平気で振舞った。そういう日は諸泉は興奮していて残酷な方法で誰かを犯したい様な気になっている。
「ああ…お前の好きなように吊るしたり刺したり殴ったり抉ったりすれば良い」
聞くなり諸泉は雑渡の胸元の包帯を引っ掴んで手繰り寄せた。そうして懐から出した苦無で上から下までビリビリと裂いてしまう。
「私は今日みたいな日は高ぶって仕方がないんです。アンタもそうなんですか?」
「いや、」
喉下に苦無の切っ先を突きつけられて雑渡は顎を上向かせた。
こんな日は死にたくなってしまう、と言葉には出さずに雑渡は思って肩を揺らして笑った。ふふふ、と幼い少女みたいな笑い方は雑渡がすると大層不気味である。そういう唇に諸泉は覆いかぶさって接吻する。
首に絡む指の感触を手伝うように雑渡の手が重なった。
「今日は丁度そんな気分だから」
ざらりとした声に諸泉はうっとり耳を澄ます。
「若しかしたら私が泣くところが見られるかもしれないよ」
その日、忍組で一番多く人を殺した男は言葉とは裏腹にひんやりと冷たい目で天井を眺めていた。
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