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※現パロ。双子かなんか。「AV」のときと多分同じ世界観
三郎が最近、夜遊びを覚えたらしい。
雷蔵はキッチンカウンターに今日の夕飯の材料が入ったスーパーの袋を乗せて、夕飯を作り始める時間を悩み始める。出来れば出来立ての食事を暖かいうちに二人で食べたい。だけど三郎が一体いつ帰ってくるものか雷蔵にはとんと分からない。
二人暮しだから食事は三郎と雷蔵と、代わり番こに用意している。
結局、雷蔵は携帯電話を手にとって三郎に電話した。
コール音が二度、三度、…出た。ふらふら遊び歩いてる癖に雷蔵からの電話にはすぐ出るのが三郎のまだ可愛いところだ。
「三郎、すぐ帰って来い。」
三郎の都合を聞くのは面倒くさかったから雷蔵は取り合えずそう告げた。電話の向こうではざわざわ、きゃっきゃと賑やかな人の声がしている。家庭というコミュニティーのほか、三郎が他所でどんな人間関係を形成しているのか雷蔵は全く知らない。きっと知らないほうが心臓に良いと踏んでのことだ。
「なにかあったの?」
「夕飯が冷める」
三郎は心配そうな声のあと、急に笑って適当に帰るよと言って電話を切ってしまった。雷蔵はまたステンレスキッチンの銀色とスパーのビニール袋の白色を見比べて悩み始めた。
三郎が次にバイブで鳴った携帯電話取ったのはそれからそう遅くない時間である。
今日の雷蔵はしつこいぞ、と思って出たら受話器の向こうはしん、としていて耳を澄ましてしまう。三郎は現在、友達なのか顔見知りなのか自分でも良く分からない連中とカラオケ付きの飲み屋で騒いでいたから周りは正直とても五月蝿かった。
「なに、雷蔵?どうか…」
「っん……」
雷蔵の息を詰めるような声が聞こえたから、途端三郎は耳をべたっと携帯電話に張りつけて全神経を聴力に注いだ。
ごそごそと衣擦れの音が聞こえたような、しかし良く分からない。三郎は殆ど息を止めるみたいにして携帯の向こうの音を拾おうと必死になっていたが、なんにも聞こえないのでやがて苛々してきた。
受話器口を一度手で押さえてすっと息を吸い込む。
「うっせーぞ、お前ら!!」
三郎は部屋全体にぐわっと叫ぶと一目散に外へ飛び出した。背後でなにか怒鳴り返すような声が聞こえたが知ったことではないのだ。三郎は薄暗い通りに出て自宅へ向かう道を走りながら携帯電話を耳から離さない。
「ら、雷蔵?今何してるの?」
「今、ね…あっ、んんっ…」
全力疾走しているから、とか関係なく三郎は息が上ってきた。雷蔵の艶っぽい声に三郎の若い脳はいやらしい想像でいっぱいである。帰りの遅い自分に寂しさを我慢できなくなった雷蔵が、三郎の声を聞きながら、こう切ない身体にあの指で可愛らしく触れて…。
三郎は勝手に興奮して顔を赤くしている。
「え、あの、若しかして雷蔵…今なんかえっちなことしてる…!?」
「ふふ、さ、あ。……んぁっ…駄目、」
我慢できないよ。
と言う台詞の辺りで三郎の足は超加速した。
帰る。帰ります。もういますぐ帰ります。三郎は頭の中でぶつぶつ言ってアパートの階段を駆け上り玄関のキイを回すのももどかしく扉を開いて明かりのついてたリビングに直行したのである。
さて、そのリビングに飛び込んでみて、さぞや淫靡な光景が広がっているかと思ったら、暖かなライトの照らすリビングテーブルには二人分の白い食器が並んでいて食欲を誘うスープの匂いが台所から流れ込んでいるので三郎は目をぱちくりさせた。
狐につままれた気持ちで台所を覗く。
青いエプロン姿の雷蔵は首と肩の間に携帯電話を挟んで台所に立っていて、手元では美味しそうなロールキャベツの入った片手鍋を揺らしている。そういう全然色っぽくも無い健全な様子で雷蔵は電話越しにあんあん喘ぎ声を聞かせている。
やられた。
三郎は文字通りすっ転んだ。
床にべしんと倒れこんだら雷蔵がちらっと振り向いて電話越しに、手を洗って来いと命令した。
「ほら見ろ。その気になれば早く帰ってこられるんじゃないか」
洗面台に向かう途中で背中に向かってきた雷蔵の小言はもう電話越しじゃなかった。
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