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(26)オルガズム(照星×雑渡)/過去捏造。↓に至る昔の話。ハイポクシフィリア


※過去捏造。雑渡さん子供(学生?)時代。照星さんに告白される。




 顔面から湯気が出ている。鉄瓶の中身を自ら引っ被った所為だ。熱くて痛くて雑渡の目は涙が浮かんで霞んでいるのだけれども唇には笑みが浮かんでいた。


「もう一度言ってみなよ」


 じゅうじゅうと焼ける顔面で雑渡は言った。目の前には色白の、まるで少女みたいな顔した男が立っていてぱっちりとした両目を見開いて雑渡を見て、それから酷い悲鳴を上げた。
  雑渡は益々笑ってしまう。

雑渡はつい先程、男に告白を受けたばかりである。顔の造形が美しいだのなんだの言われた。大層気味が悪かったので雑渡はそんな顔なら焼いてしまえと熱湯を浴びたのである。
 
男が顔面を蒼白にして悲痛に叫ぶので、雑渡はこの子気絶するんじゃないかな、などと思った。
ところが男は雑渡の着物の襟を鷲掴むと一目散に縁側から庭へ下り、池まで引き摺っていったのである。可憐な作りの顔からは思いもつかない力だった。あとで聞けば、得意武器は火縄銃で、それを軽々扱う程度には身体を作っているとか。

ともあれ、雑渡は池の淵に引き摺り倒されて顔面を池に沈められた。
高熱が一気に冷やされて、じゅっと音がした。雑渡は思い切り水を飲み込みもがいた。男はいまや雑渡の背中に馬乗りになって後頭部を水面に押し付けている。酸素を吐き出しきった肺がきりきりと痛い。死んでしまう、雑渡は地面に手のひらを突っ張ってなんとか必死に顔を上げた。


「っぅえ!げほっ、かはッ!!」


 喉と鼻の奥に水が入り込んで不愉快に痛む。雑渡は木の葉やら水草やら混ざった汚水を吐き出して喘いだ。
ふと水面を見れば波紋の収まりつつあるそこに、雑渡の背に馬乗りになっている男の心配そうな青白い顔が映っている。文句を言ってやろうと口を開いたらまた頭を押さえて水に叩き込まれた。

「まだ顔を出すな。火傷が残る。」

 嗚呼、可哀相に。
心配そうな声が水を挟んで遠く微かに聞こえている。雑渡は悪寒と酸欠でくらりと意識が揺らいだ。背に乗っている男の体温が高くなっている。雑渡は男が勃起しているのを知った。それが堪らなく気持ち悪いので地面を叩いてもう一度顔を上げようとしたら、男は雑渡の背に乗ったまま雑渡の手の甲を思い切り踏んづけた。


「ごぼっ…」


 痛、と上げた声が気泡になって池に零れていく。足や手の指先が勝手にひくひくと痙攣し始めて、苦痛もよく分からなくなってきたのでこれはもう死ぬのだと雑渡は思った。死を限りなく近くに意識したところでモルヒネ様の脳内麻薬が発生しはじめているのかもしれない。動物の身体は便利だ。状況も敵意も無視して苦痛を快感に代えられる。

びくびくっと身体が変な具合に痙攣して頭が真っ白に飛んだ。絶頂なのか死にかけたのか区別が付かずに雑渡は意識を手放した。
 

「好きだ」


 その顔が。意識と水幕の向こうで告白された。







(あとがき)
子供の頃テレビでハイポクシフィリアのカップルがいて風呂に相手の頭を沈めあいながらファックしていたのが今も忘れられません。何の番組だったんだろう。

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