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「君の自由」/(部下雑) 押され気味な雑渡さん


▼君の自由



 勝手に恋い慕うのは自由でしょうか。
雑渡の全身を爪先からくるくると包帯で包みながら諸泉が謙虚なことを言うのを雑渡は眠たそうに返した。

「いいんじゃない」

 雑渡は焼け爛れた全身が綺麗に包帯に包まれきってしまうまでの時間をただ退屈だと思うらしくて天井の木目の線を数えたりなんかしている。
諸泉は雑渡のこの焼けた身体が好きで欲情するらしいのだが、そういう目で見られること自体を雑渡は咎めはしないのだ。ただ、変わっているなぁと思うのみである。

「思うだけならいいんじゃない」
「はぁ。…だけ、ですか」

諸泉は惜し気な声を出しながらせっせと雑渡の足に包帯を巻いている。柔らかく無ければ白くも無い男の足を噛み付きそうな目で眺める視線は異常だけれど、諸泉の仕事は丁寧だ。ただ雑渡の素っ気無い態度に未練そうに口にする。

「夕べの組頭はそれは愛らしかったのに」
「…そんな覚えは無いよ」

雑渡はこの部下とどうこうした覚えが本当にないのできょとんとした。諸泉は照れ笑いのようにへらっとして、いやいや違いますと首を振った。

「すいません、私の想像の中の組頭の話です。」
「ああ、…そう。」

 諸泉は口元が緩むのをなんとか堪えながら、といった様子で雑渡の顔を見るので雑渡は少し居た堪れない心地がした。どんな想像をしたものか知れないけれど、頭の中で思うだけ自由と言ったばかりなのでとやかく言うのもおかしな気がする。そこで雑渡はただ曖昧に相槌を打って聞き流すことにした。
 包帯はもう片足が綺麗に巻かれていて太腿のところできゅっと先を結ばれている。諸泉は雑渡が投げ出した足を自分の正座の膝にひょいと乗せて足首を巻き始める。
諸泉は器用に手を動かしながら惚けた表情でまだ、可愛かった、なんて想像の中の雑渡に思いを馳せている。


「いや、本当に愛らしかった。まさか組頭があんまに初心で感じやすいなんて。嫌だ嫌だと言う癖に、指で掻き回したら腰が砕けてしまって、やらしい顔するもんでもうすっかり興奮してしまって後ろから四つん這いでガツガツ犯してしまって、そのときの組頭の喘ぎ声がまた」

と、諸泉が語りだしたので雑渡はぎょっとした。思うだけ自由と言ったらとんでもないことを考えている。慌てて諸泉を制止する。

「…待て待てちょっと待て、何を言い出すんだお前は」

止められた諸泉は至って真面目な顔で、いや想像ですよ、なんて言っている。

「想像…って」
「はい、想像です。それでですね、組頭がいやらしくあんあん言うわけですよ。それがもう正気じゃないような乱れっぷりで。もう駄目、駄目、って言いながら悲鳴混じりに絶頂するわけでそれを尚も責め立てると口から涎を垂らしてひぃひぃ喘いで…嗚呼もう興奮してきました!それでですね、」


分かった分かった、もういいから、と言って雑渡は首を振るのだけれど諸泉はすっかり恍惚の表情で自分が想像の中でどんな風に雑渡を犯すかを語り止まない。そうしながら包帯を巻く指はきちんと正確なのがもういっそ恐ろしい。諸泉の物語る中では一晩ですっかり淫乱になった雑渡が自ら股を開いて云々というところに差し掛かっている。
雑渡はくらりと眩暈を覚えた。
頭に血が上ってガンガン痛むし、若しかしたら数年ぶりに顔が赤くなったりしているかもしれなかった。

「もうやめてくれ…」

やがて雑渡はぐったりしてそう言った。
妙な顔をして瞬いた諸泉はちょうど雑渡の足の包帯を巻き終えたところである。

「あ、その台詞も言ってました」
「…。」

じゃあ、次。腕巻きますから。
諸泉が何気なく手を伸ばし雑渡はなんとなく犯される心持ちでじり、と後退った。

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