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「リセットボタン」/(鉢雷) 現パロ双子「こどもの玩具」後日談 ハナ様よりリク


▼リセットボタン

※「これ」の続きです。



 三郎はろくでもないことを平気でしでかすくせに、謝るときは気の毒な程必死な態度を見せるから僕はついつい三郎の本質を見逃しがちだ。
ある朝目覚めて、ごめんなさい、もうしません、と床に頭を擦り付けて謝る三郎をみつけたとき僕はぽかんとしてしまった。何処から途切れたか分からない記憶を辿ってみたところで、カッと頭に血が上る。そういえば僕は昨晩、妙な道具など使って間接的にではあるけれど犯されたのだ。どう罵ってくれようか。
けれどそう思ったところで、三郎が平謝りに謝るものだから僕は一言も文句を言う間もなく三郎を許してしまったのである。
無かったことにしよう、と甘いことを言った。

 三郎は大変反省しているようで、その後しばらく素行も比較的大人しかった…
ので、僕が三郎の二次犯罪に気が付いたのは二、三日後のことだった。
 

 携帯、どこに置いたっけと言いながら三郎が家の中をうろうろしていたので、僕もなんとなしに周りを見渡した。ソファの下なんか屈んで覗いたところで三郎がいいよいいよ、と慌てるので僕は違和感に気づいてしまった。クッションの下で埋もれていた携帯を手のひらで隠して、みつからないね、ととぼけると三郎は半ばほっとしたように他の部屋を探しに廊下に出て行く。

さて、三郎の足音を聞きながら僕は手の中の携帯電話を見つめて考えてしまう。
僕は殆どメールと電話しか使わないけど、携帯というのは無駄に万能なのだ。録音機能とかカメラとか。昔いつのまにか変な寝顔を撮られて待ち受けに貼られていたのを思い出して嫌な予感を覚える。
寝顔よりはるかに困る図を収める機会を僕は最近三郎に差し出したばかりだ。


 「…いや、まさかね。」

とかなんとか思いつつ、結局僕は携帯のデータフォルダを開いた。ロックもされていない画像フォルダの中は縮小された肌色の画像でいっぱいだった。案の定の光景に目の前がちかちかと眩む。

「三郎、お前…。」

いつの間に撮られたものだろうか。
 殆どが性器のどアップの静止画のうち、何枚か紛れている引きで撮った画像での僕はただ素っ裸でぐったりとベッドに横たわっているから気を失った後撮られたものらしい。
それから、見たくはないけれど確認しないわけにはいかないだろうと、動画ファイルを開くとこちらは登録が一件だった。
なんだか不気味だ。ごくりと喉をならして再生を押してみるとがさがさとノイズのきつい中、ざらつく音声で僕が三郎に泣きついている。


『さぶろ…、三郎、…好き、好きだよぅ…!』


劣化した音質の告白は記憶に無いのと台詞の舌っ足らずさで、どうも他人事のようだった。思っていたほどショックでもない僕の感覚は麻痺しているのかもしれない。
画像ファイルはあらぬところが卑猥な玩具を咥えているところや性器、若しくは僕の顔のアップでいっぱいだったというのに、動画ファイルは短い数秒のこの台詞一件のみを保存していたのがなんだか意外だった。
だから許容できると言うものでもないのだけれど。

「あ、やらしいんだ雷蔵。」

と、背後からひょいと三郎が頭を出したので僕はぎくりとして携帯を取り落としそうになってしまう。
人のものを勝手に見たのは悪いけど、良く考えたらこの場合、悪びれなければいけないのは三郎の筈じゃないか。危うく謝罪の言葉を口にするところだった。
いけしゃあしゃあ携帯を取り返そうと手を伸ばす三郎の手をひらりと交わす。このまま返してなるものか。

「お前に言われたくないよ。…えい、削除。」
「あああっ!?」

卑猥な画像をいちいち調べて消すのが面倒だったのでフォルダの中身を丸ごと消してしまった。
 
酷い、と叫んだ三郎は散々喚いて床に泣き伏したかと思えば、一生心に刻んだから良い!と負け惜しみを言った。この頭を殴り飛ばしたら機械のデータの様に記憶が飛ばないだろうか。僕は期待を込めて三郎の頭をはたいた。


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