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19才/部下雑


▼19才

 




 きっと毒を盛られたのに違いない。
と諸泉は思った。

 まず呼吸器がやられたらしい。酸素を吸い込んで吐き出すだけのことがどうも上手く出来ない。
身体もなんだか意思に反して震えるようだし、心臓の動きもバクバクと異常な脈を打っているし、それから毒は脳まで達したみたいだ。ぐらぐら目眩がして思考がまともに働かない。


「嗚呼、俺はもう駄目みたいです。死にます。」


諸泉がそう言ったので雑渡は眉を潜めて首をかしげた。


「失礼な奴だ」


雑渡は片膝を立ててだらしなく座りながら、目の前で顔を赤くして死ぬ死ぬと喚いている諸泉を眺めた。
任務の報告にやってきた諸泉に、先刻雑渡は接吻をくれてやったとこである。
仕事の褒賞に雑渡の身体を所望するような男だから喜ぶかと思ったのである。諸泉は雑渡の前に暫く綺麗な正座で固まったのち、一気に血の気を顔に集めた様になった。



「だって、唇に毒を塗ったでしょう」


心拍はおかしいし、汗は出るし、どう考えたって毒に当てられたに違いない。死にます。
諸泉が真面目な顔をして言うので雑渡は声を立てて笑った。誰がそんなくの一みたいな真似をするものか。


「馬鹿を言え」


笑いながら雑渡は足を伸ばすと、未だきちんと正座している部下の股間に足を乗せた。熱のこもって固い其処は袴越しにも勃起していると分かる。


「こんなに元気な癖に」
「ううっ…」


足の裏でにじるように股間を踏み潰されて諸泉は低く呻いた。
雑渡は人の悪い目をして器用に足を使って布越しに諸泉の性器を愛撫してくる。


「く、組頭っ」


堪らず上擦った声を上げた諸泉は、雑渡の足首をひっ掴むと肩に担ぎ上げた。ごろん、とひっくり返されるままにされながら雑渡の目が面白そうに細められる。
ごくり、と唾を飲み込んで諸泉の喉が鳴った。


「…毒が塗ってあるかもしれないよ?」


先の台詞を引っ張って雑渡が当て擦ると諸泉は真顔で応じた。

「毒を喰らわば皿まで、です」


やっぱり失礼な奴だ。
雑渡は苦笑した。




image song スガシカオ 「19才」(唇に毒を塗って僕の部屋に来たでしょう?)
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