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人葬/(部下雑伊)※/ 雑渡さん死にネタ。薄っすら人食表現あり


▼人葬 (部下×雑渡×伊作)※カニバ要素あり


 




 雑渡が死んだので、禍々しいほどに彼の人を愛した男は予ねての計画通り雑渡の身体を取りこぼさないように布に包んで肉の傷みにくい冷たい土倉に置いた。

 男は雑渡の下で長いこと部下として務め続けた人間で諸泉という。諸泉は何時か来るだろうこの日に雑渡の身体を確実に手に入れるために雑渡の傍に張り付いていたようなものだった。
 諸泉はこれから雑渡の身体を犯しながらバラバラにして、バラバラにしながら犯して、其れから一片も残さずに肉を食って雑渡を弔うつもりである。
鳥にもやらず虫にもやらず、郷里にもやらなければ天にも地獄にもやらないで全て一人で食ってしまう為に諸泉は雑渡の傍を一生涯離れなかったのである。

 諸泉は雑渡の身体を眺めてまずはどうして抱こうか、ひび割れた唇に指を入れながら嗚呼ここがまだ乾ききる前に口づけをしようか、それから性器を咥えさせようかと考えていた。諸泉の前にあるのは一度限りしか味わえぬ至高の食事である。誰に分けてやる気もない。
 さて其れというのに死の臭いに貪欲な白い鳥が諸泉の前にやってきたのである。

「この度はお悔やみを申し上げます」

鳥は言った。
鳥は若い男の姿をしていて、少し癖のある柔らかな髪を結いあげ、桜色の唇に笑みを浮かべて、真白い装束で土倉の扉の前に立っていた。
 
こんな男は雑渡が率いたタソガレドキ忍軍には居ない。
 ならば当然男は侵入者であるのだが、薄ら寒いことに警備の人間をどうかわしたにしても、どんな隙間から忍び込んだにしても、男の装束は真っ白なのだ。血の一滴も泥の染みひとつも付いていないのだ。そして城の奥にある土倉のひとつの扉の前に立っている。


「お悔やみ申し上げます」

 男は口上を述べた。
故人から生前お聞き及びでしょうか、善法寺伊作と申します。
その名前なら覚えがあった。雑渡が何年か前に特別興味を持って入れあげていた子供の名だ。伊作は最早大人の男となっていたが、小娘のように小首を傾げて笑って言った。

「この度は雑渡さんを娶りに参りました。」


伊作の手には華奢な造りの綺麗な箱がある。骨を入れるために予てから細工師に用意させたものだという。若い女の嫁入り支度でも入っているのが似合いそうな梅の花の彫られた美しい箱である。


「爪の端一つだって他人に遣るようなもんは無い」

諸泉は煩そうに鉈を投げた。愛しい男の身体をバラバラにするために用意した刃物だ。刃物は首を傾げた伊作の横の土倉の扉にさくっと刺さった。諸泉は伊作の眉間を迷わず狙ったので、刃物が扉へ刺さったのは伊作がそれをかわしたからである

「帰れ気違い」

諸泉は言った。
雑渡の身体はこれから自分がその肉を食らうのだ。もうずっと前からそう決まっていたのだ。
諸泉がそう告げると伊作は眉根を寄せて不快極まりない顔をした。

「気違いはどちらですか。ずっと前から決まっていたのは此方も同じです。雑渡さんの骨は僕が戴くことになっているんです。頭蓋から足の指の一関節迄、犬にも鳥にもくれてやる気はありません」


当然だ。愛しい男の屍を犬や鳥や虫けらになどくれてやるものか。


伊作と諸泉は雑渡の亡骸を巡って口論した。
生前如何にこの男の身体を愛したか、如何に慈しんでいるか、男を如何に慕ったか、男が如何に魅力ある人間であったか、傷だらけの皮膚に如何に情欲を抱いたか、男を愛してもいない犬に鳥に虫けらに天の神とやらに男の一片すら遣るのが如何に惜しまれることか、伊作と諸泉は代わる代わる口にした。
不思議と互いの思いは互いに手に取るように分かった。


「骨なんかどうする気だ」

やがて諸泉は訊ねた。

「焼いて灰にして酒で飲みます」

伊作はさらりと答えた。愛しい男の骨は一欠けらだって他所へやりたくなどないのだ。
どちらも気違いだ。この頃には二人の意気は投合して話は酒でも交わしながらという流れになった。


さて、伊作は侵入者であるので座敷へは通されずそのまま土倉に通された。
酒の肴の無いことが悔やまれる。
諸泉がそう思うと伊作も同じことを考えていたらしく倉の中で視線を彷徨わせていた二人はやがて布に奇麗にくるまれた雑渡の身体に目を止めた。余り放っておいては腐ってしまう。
 どちらとも無く二人は微笑んだ。互いの器に上等の酒を注いだ。

「それでは仲良く頂きましょう」


食卓はしめやかに営まれる。






相方が「都都逸の『焼いて灰にして酒で飲む』って良いと思う」って言ってたので書きました。
流石にこれは・・・無いな・・・ギャグのつもりでした。(センスが無い)

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