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カッコウの巣の上/親代わりの凄腕さんとはじめの一線を越える白目。甘い?

▼カッコウの巣の上



 俺の上司はまぁ、俺の人生の半ば程迄は親の様なものでもあったかもしれない。
殆ど浮浪児のようだった俺を俺の上司になる男が拾い上げるに至った経緯はというと長くなるので割愛するが、とにかく俺は餓鬼の時分からこの男に読み書きを教わり忍びの仕事を教わり、怒鳴り殴られ、ときに褒められてここまでを育ったのだった。
すくすくと手足が伸びるのにつれて俺の男への好意はすっかり思慕から欲望に変わりつつあるが、男は未だ俺の親であるのをやめない。
そういうわけで宵口、下心を持って忍びこんだ男の部屋で俺は温かく布団に迎え入れられ戸惑うという現状にある。

「あのう・・・」
「ん、」

 ぬくぬくとした布団の中で男の手が俺の背を規則的に叩いている。
気を抜けば眠ってしまいそうな居心地の良さに抗いながら俺はぶるりと首を振った。いや違う、こんな筈ではない。腹の上に寝そべる様だった体勢を起こし、男の顔の両脇に手をついて見下ろすようにすると訝しげな視線が正面から向き合った。

「どうした、」

眠たそうに囁くような常より少し柔らかい声音がいやらしい。顔の端正な男だ。ああそうだ、俺はこの男を夜這にきたわけで、と思い出して心臓が鳴り始める。興奮やら欲情やら緊張でぐちゃぐちゃな気分で訪れた俺を、男が「怖い夢でもみたか」、と布団に招きいれたときにはあまりな扱いにどうしてくれようかと思ったが。ごくりと喉が鳴る。抑えきれないのはなにも気持ちばかりの話ではない。若いのだ、仕方がない。
あとほんのわずかで鼻先が触れそうな距離にある男の首筋に唇を押しつけた。吸いつくとぴくりと肩が揺れる。眠たげだった目が少し開いて俺を見据えた。

「おい・・・、」
「・・・俺はあんたが思う程餓鬼じゃないんで。」

まさに餓鬼の典型のような台詞じゃないか。
そんなことを思いながら俺は夢中で男の肌を弄った。馬鹿、と一度焦ったような声で咎められたのが随分遠く聞こえる。背を叩いていた手が俺の肩を押し遣る。緩い抵抗に興奮しながら掴んだ男の手首が、意外に細い、と俺は思った。







 「・・・お前いつの間にそんな図体でかくなってたんだ。」

俺が男を抱いた後、男はどことなく納得のいかない風で俺に尋ねたのが印象的だった。
どれほど俺が子供に見えていたのか、背が伸びきってもう何年も経つのにと思って苦笑すると男はむっと眉を顰めて横を向いた。いつもより幾らか幼く見える、と思う。

「今更気が付いたんですか。」

そういえばこの男も若いのだ。歳の差も七つか八つ、十は離れていないだろう。隔たりを感じていたのが嘘の様で、手を出してみるまで想像もしなかった、俺の手の中で吐精した余裕の無い顔を思い出して疼く。
布団の上に仰向けに横たわる男の身体にもう一度覆い被さると今度ははじめからはっきりと拒絶を手で示されて笑う。これはもう夜中に変な夢を見ても背中を叩いて貰えないだろう。


「今更と言えば俺もなんですけど、あんたそんな可愛かったんですね」

接吻を、迫ろうとして顎を殴られた。腹立たしそうに毒づかれる。

「くそ、可愛くねえ!」
「あ、今更気が付きました?」



カッコウって親鳥(疑似)より大きく育つよねって話です。
白目くん細いけど手足は伸びそうって感じで。
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