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おねがいごと/続・猟奇的な部下 部下雑


▼おねがいごと
 

 


「金も出世も要りません。どんな無理な仕事でもします。後生ですから、一日アンタを好きにさせてくれないでしょうか。」



そう言って普段ふてぶてしい所のある己の部下が両手と額を地に擦り付けて言ったので雑渡は幾度も瞬きをしてそれをみつめた。

「好きにねェ…」

雑渡は目の前の部下のことは信頼していたし目を掛けていたのでそうまでしてお願いすることなら聞いてやりたいぐらいには思っていた。しかし何分この部下には残虐な趣味があることを知っていたので雑渡は少し戸惑った。
この男に買われた女が大体夜明け前には無残な死体になって穴に埋められるのを雑渡は良く知っている。

「お前の例のあの趣味に付き合えってことだよね?」

一応確認をしてみると、部下は頭を地に埋める気かというほど擦り付けて、「殺したりは絶対しません」と答えたので、殺さないまでの拷問にかけられてくれと請うているのだと言うことが明確になった。
雑渡は少し眉を顰めた。
部下はまだ床から頭を放さないで居る。

「…というか私はそこまでお前に恨みを買ったかな」

ぽつりと雑渡が呟くと部下は跳ね上がるように額をあげた。

「ご冗談を!」

突然張りあがった声に雑渡が目を丸くしていると部下は膝でずりずりと雑渡ににじり寄ってきた。

「恨むなんて。俺はただもうアンタを見てると堪らないんです。アンタを天井から吊るして爪先から犯しつくしたくてしょうがないんです。風呂桶に沈めたり乳首や性器に針刺したりしたいんです。ああ、もう本当にそうまでしたいほど愛してるんです。」


そうまくしたてた部下の目は至って真摯であった。
雑渡には部下の趣向はまるで理解できないうえに痛そうでしょうがなかったが、しかし余りに真剣なようだったので考えた末に妥協案を出した。



「…次の仕事でね、敵地に誰か一人派遣しようと思うんだけど、条件が厳しくてさー。多分誰を遣いにやっても死ぬと思うんだよね。流石に死ぬと分かっている仕事を頼むのって気が引けて誰に頼むか悩んでいたんだけど、」

「俺にやらせてください!」


雑渡の言葉が終らないうちに部下がそう勢いよく切り出したので雑渡はまた少し瞬きを繰り返した。

「ああ、そう。…へぇ、本当に愛されているんだねェ、私」

雑渡は意外そうに笑うと、もう睨みつけるような形相で雑渡の言葉を待っている部下に「じゃあ、一日お前の好きにしなさい」と声を掛けたのだった。


  

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