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駄目な人 (雑伊 伊作がお漏らし)


▼駄目な人




 すっかり顔見知りになってしまった曲者、もとい雑渡昆奈門に攫われて伊作はどこか見知らぬ荒屋の柱に縛り付けられている。そうは言っても、雑渡の様子はちょっとした悪ふざけといった様子であったから、伊作は大して狼狽することも命の危険を感じることも無く、こう言うのもおかしいが、落ち着いて縛られている。

 さすが忍として努めて長いことだけあって雑渡が縛っていった縄は、縄抜けの際に狙い目となるような隙、というものがまるで無かった。手首を後ろ手に回されて縛られ、肘と肩の間辺りの位置で胸をぐるりと巻いた縄は、更に別の縄が両脇の下の位置で背面と前面に回されている縄の隙間を埋めるようにしっかりと結ばれている。
ここを結ばれてしまうと肩を外そうと何をしようと縄を抜けるのはちょっと難しい。

それだけ厳重に伊作を縛りつけておいた張本人はというと、ちょっと仕事があるからと言って伊作を置いて出て行ってしまった。
出て行って、もう夕暮れが訪れ、過ぎ、夜が来て、冷たい風が辺りの空気を冷やし始めるようになると、それまで諦めて大人しく柱に括り付けられた侭だった伊作はようやく僅かに身じろぎ始めた。

ここに来てようやく危機感を抱き始めたわけではなく、人間として仕様の無い生理現象が伊作の下腹部を襲っていたからである。
あと暫くあの男が帰ってこなかったら漏れる、と伊作がまるで解けない縄にじたばたと身を捩り始めたところで、やぁ、ただいま、と雑渡が帰ってきた。

「…これ解いて下さい」

伊作はまず丁重に、しかし直ちにお願いした。もともと伊作を攫ってきたのは悪ふざけであるようだ。頼めばほいほいと帰してくれるだろうと伊作は思った。

「ええー、私は今帰ってきたばかりなのに?」

まだ何も楽しんでないのに、と雑渡が口にしたので伊作は少し背筋が寒くなるのを感じた。出来れば楽しまれる前に帰してもらいたかった。

「…僕を攫って縛り付けてこれだけ放置して、十分楽しんだじゃないですか。」

伊作自身はそれの何処に楽しい要素があるのか皆目分からなかったが、しかし目の前の男が伊作を攫ってきてとても楽しかったらしいということはなんとなく分かっていた。
ついでに言えば攫って楽しい、その他に特に行動理由が男にあるとも思えない。

「とにかくとりあえずコレ解いて下さいっ」 


とやかく揉めている内に本当に漏れてしまいそうなのだ。伊作は切実な声で訴えた。訴えたが雑渡はあくまでマイペースである。


「そんな必死にならなくても大丈夫。ちょっと君を攫ってみたかったんだけなんだよねぇ」


今回はちゃんと帰してあげるから許してよ、と雑渡は微笑んだ。

その顔は右の目の周りの僅かばかりの皮膚ぐらいしか見えなかったから愛想良く微笑んでも伊作には良く分からなかったし、今回はという言葉も不穏なことこの上なかったのだが、しかし伊作は今それどころでは無い状況にあったので雑渡の言葉をさらりと流した。

「じゃなくて、あのっ…厠に、行きたいんですけ、ど…」

だから早く解いてください、と
雑渡は尻窄みになる伊作の言葉を聞いてははは、とのんびり笑ってみせた。誰の所為でこんな目にあっているんだと伊作の頬は怒りで紅潮した。雑渡はそんな伊作の様子など全く意に介さないようで更に伊作を唖然とさせる台詞を吐く。

「漏らしてよかったのに」
「嫌ですよッ!」

すかさず怒鳴り返した伊作を見て、雑渡は嬉しそうに笑っている。笑いながら雑渡は自分の頭巾を取って覆面も外し始めたので、伊作は今度はちゃんと雑渡が笑っていることが見て分かった。
分かったところでそれは只でさえ切れる寸前の伊作の神経を逆撫でるばかりであったが。

「うんうん、ごめんねえ…。」

言いながら雑渡は解いた頭巾を几帳面にたたんで傍らに置き、冷えるねェと独り言を言って火鉢を探し始めた。

「あの…」
「んんー?」

伊作はいつまでも縄を解きに来てくれない雑渡に痺れを切らせて呼びかけた。雑渡は伊作の方を振り向きもせず生返事をしながら出してきた火鉢に火を入れている。

「僕もう限界なんですけどっ…」

そう口にした伊作の顔は真っ赤で、膝をぎゅっと合わせて腰を捩っている。緩く瞬きした雑渡が近づいて行ってよくよく顔を見れば冷や汗らしきものも浮かんでいるようである。
雑渡が帰ってきた時点で既に切羽詰った状態になっていた伊作の下腹部の圧迫感はもう相当に洒落にならないレベルに達しているらしい。

「もう出ちゃう?」

間近で顔を覗きこみながらそんなことを聞いてきた雑渡に伊作はまた頭に血が上るのを感じたが、しかし文句を言っている暇も惜しまれた。

「出ちゃいますっ、だから早く、これ解いて下さいーっ!」

じたばたと柱に縛り付けられたまま伊作はもがいた。もがいたと言ってももう僅かばかり腰を浮かしただけで漏れてしまいそうだったので、最大限慎重に左右の肩が揺すられただけというようなもがき方だった。

「え、解かないよ?」

雑渡は何を言っているんだという様に目を丸くした。

「え?」

伊作も同じように目を丸くして雑渡を見た。

「………だ、って、帰してくれるって言ったじゃないですかぁ…!!」

もう半分泣くようにして伊作が懇願する。雑渡はいたって常どおりの飄々とした顔のままである。

「ああ、うん。帰るときはね、解いてあげるよ。まぁでも今はさァ…」

すっきりしちゃいなよ、と嬉しそうに微笑みながら言われて伊作はくらりと激しく眩暈が襲うのを感じた。

―ああもう駄目だ、この人は。
と伊作は咄嗟に思った。
何が駄目かというと会話能力から行動から趣向まで全てが一切駄目である。伊作の周りには一般的に駄目だこいつはと思われる人間が掃いて捨てるほどいるが、目の前の人間はその誰よりも駄目な人間だと多少の私怨を含みつつ伊作は断定した。

「ああううー。」

がっくりと項垂れながら伊作は言葉にならない唸りを上げた。
腹の下はもう熱い様な痛いような微妙な感覚でずきずきと疼いている。
このまま漏らすまで放してくれる気が無いとなると、もうそれが何時であろうと同じことなのだが、それでも意地で決壊を先伸ばしにしようと伊作は股を擦り合わせて堪えている。

「…でもそれじゃあまり良く見えないなァ」

と、それまでまじまじと伊作の様子を眺めていた雑渡は一言呟いて、伊作が固く閉じ合わせている膝を掴んで大きく開かせた。次いで膝を胸に押し付けるようにきつく折りたたませて幼子に用を足させるような格好をさせる。

「ア、あぅ…!」

腹圧が強くなることによって押し出されたのか、じわり、と小さな染みが伊作の股間の布に出来た。

「あ…」

伊作が呆然と呟く。頬がみるみる赤く染まり、その目が恥じ入るように逸らされた。

「ん、ちょっと出たねェ」

全部出しちゃいなよ、と雑渡は伊作の下腹に手を置いてゆっくり擦り始める。

「ひぅ、や、もっ…おしっこ、でちゃ…!」
「うん、いいよ。おしっこ、出しちゃって」

伊作が口走った幼児語を、わざとらしく用いて雑渡は放尿を促した。親指の付け根の部分を使ってぐっ、と伊作の下腹の部分を押し込んでやると、その圧にとうとう伊作の我慢は限界を超えた。

「あ、あっ、あぁー…っ!」

じわぁ、と広がった染みは袴を重たく濡らし、布地に吸いきれなかった水分が伊作の足元に水溜りを作った。

伊作は溜まりに溜まった尿意を一気に解放した快感にしばらく呆然とした顔で震えている。
その伊作の頭をよしよしと雑渡は撫でてやって

「全部出た?」

等と聞くのだった。


08/11/23
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