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カラー (部下雑 剃毛プレイ)


▼カラー




  組頭の
白い包帯のその下の肌は何色とも言い難い。
俺は換えの包帯を巻くのを手伝うという口実で、全身を覆う包帯が引き剥がされた男の傷だらけでグロテスクな皮膚に見入った。

 染みの様に広がる火傷なり裂傷の跡なりは、生まれ持った人間の皮膚の色を止めていないのは確かである。桃色でもなければ赤でも灰色でもない強いて言うならそれは死体の色に似ている。
 ではこの皮膚は死んでいるのか。線を引くように爪を立てると、小さく空気が揺れて死体の肌の男が此方を見下ろした。


「痛いよ」


 肉感の無い唇が蠢いて痛覚を訴えたので、血色の悪い皮膚はこれでも神経の通ったものらしい。愛おしくなって浅い蚯蚓腫れを指の腹で幾度も撫でた。男は注意したものかどうか考えあぐねた様子で眉根を寄せている。

 どこかが狂っていることは重々承知で言えば、俺は肉の色やらどす黒くなっていく血の色に性欲を煽られる性質がある。だからと言おうかこんな神経の通っているのかさえ疑わしい継ぎ接ぎの皮膚を引っ付けて、ぐるぐるの包帯の中から目玉ひとつぎょろりと向けている姿の組頭が俺には淫靡で仕方がないのだった。


「手が滑りました」


鎖骨の下の皮膚を撫で続けながら白々と俺は言う。


「不器用だねェ」

組頭は呆れたように呟いて俺の手から包帯の束をとりあげた。包帯の端をちょっと引き出して左手でこめかみの辺りに手のひらで押さえて右の手で巻物状に束ねられている包帯を少しずつ広げながらぐるりと頭部を一周させる。

「アンタは器用ですね」
「まぁねえ。」

 忍びだからねェ、とのんびり呟かれた言葉は先ほど不器用と評された俺に対しての嫌味なのかも知れないが泥のような重たい声色が心地よくて敢えて耳を済まして聞き入る。
 包帯は既に目玉の無い左の顔を殆ど覆い尽すところまで終っている。流石に毎日の作業だから手早い。

 組頭が頭の後ろに包帯を通すとき腕が高く上ると皮膚が上に引き攣れてあばら骨がくっきりと浮き出る。それを目を細めながら眺めて居ると脇腹から脇の下を通って二の腕の裏まで火傷跡が繋がっているのが分かった。

「変な火傷ですね」

横腹の焼けて引き連れている皮膚と健常な皮膚の境目を指でつう、となぞると包帯を巻く手を止めてしまった組頭は胡坐をかいたまま少し腰を捻ってその指をかわした。

「昔、焼かれたんだよ」
「拷問ですか」
「うん」

 組頭が頷いたので俺は皮膚を炙られている若かりし日の組頭を思い浮かべて密かに興奮した。
引き攣れた皮膚をさもしく指の腹でなぞる。くすぐったいのか身を捩って嫌がる組頭はしかし折角綺麗に巻けかけている包帯を弛ませてしまうのは惜しいと見えて両手を頭の方に掲げたままである。

そこで俺は調子に乗って傷跡に唇を寄せて上唇と下唇で緩く挟んだり舌先で突付いたりしてみる。流石に放って置けないとみたのか組頭の指が迷うように泳いだが、結局包帯の端はまだピンと張られたままだ。
脇腹から徐々に上っていくと毛穴まで焼けてしまったのかそれなりに年のとった男に不釣合いにつるりとした脇の下に辿り着く。窪みの辺りに鼻先を埋めてべろりと舐め上げるとぴくっと組頭の肩が震えた。

「ん、」

 喉奥で息を飲み込んだようななんとも微妙な声が組頭の唇から零れた。組頭の指の長い手が俺の頭を乱暴にぐい、と押し遣った。手放された包帯の束は落ちてコロコロと床に白いラインを引いた。半端に引っかかった包帯がだらりと組頭の顔から垂れている。
 包帯の垂れ幕の下で不愉快そうに片目が瞬いた。

「あーあ、折角綺麗に巻けてたんですけどね」

 俺がそう感想を述べるとぎょろりと目玉が此方を向いた。

「いいじゃないですか、ちょっと触りたかったんですよぉ…」

 俺は甘えるように組頭の腰の辺りに絡み付きながら、裸の腹の傷跡に鼻先を引っ付けている。どさくさに紛れて組頭の袖を脱いで腰の辺りに帯で巻き付けられているだけの着流しを手で割り入って探ると、こら、と親の様な怒り方をして組頭の手が俺の頭を緩く叩いた。

 それを無視して下帯の脇から指を滑り込ませて弄ると流石にそこばかりは傷の無い滑らかな肌と柔らかな陰毛の感触がある。流石にこんなところまでは焼かれなかったらしい。癖のある毛を一つまみ指の腹で掴んで痛まないだろう程度に引っ張る。組頭はもう諦めたように堂々と胡坐をかいて下の毛を弄らせるままにしている。
 組頭がそういういさぎの良い態度をとる性格であるから俺は思いついたことをそのままお願いしてみることにした。

「これ剃って良いですか?」

組頭は少し戸惑うような顔で何だって、と聞き返した。


***


 剃刀を濯ぐための水桶と手拭と手元が見やすいように燭台も、と周到に用意して無防備な性器を晒している組頭の下半身へと向き合う。組頭のざんばら髪にはところどころ白髪が混じりかけているがこちらは少し癖のある黒々とした毛が生え揃っている。

 仰向けに寝かせて膝を畳んで股を大きく開いて貰う。突飛なお願いを快くとは言わないまでも今後の働きを約束することで許してくれた組頭は、羞恥に顔を染めるといったようなことは無く、飄々と足を開いている。
思わず飲み込んだ生唾が喉でごくりと音を鳴らした。

 地肌を傷つけないように柔らかな茂みに香油を垂らして塗り広げる。陰毛の根元の地肌までマッサージするように時間をかけて塗りこんで、隅々まで香油でてらてらと濡れそぼる頃になると組頭が居心地悪そうに腰を逃がすので何かと思えば性器が僅かに反応しかけているのを気にしているらしかった。


「大丈夫ですよ。私なんかもうとっくに完勃ちですから」


そう言うと組頭はぎょっとした目を此方の股に向けた。下帯の中は随分窮屈になっていて股座の布地が不自然に盛り上がっているので此方の窮状はその一瞥で見て取れたことだろう。

「ゲテモノ趣味…」

組頭は呆れ果てたと言わんばかりの顔で呟いた。この場合ゲテモノは組頭自身のことを指す事になるのでとんでもないと俺は頭を振った。

「そんな卑下することないですよ。アンタすげー可愛いです。」


組頭は長い溜息を吐いてそれっきり押し黙ったので、俺もいよいよ剃刀を性器の根元の茂みに当てる。
ざり、と音がして剃刀の先に毛の引っかかる独特の手応えがして刃が通った後に白い肌が覗く。何度か剃刀に付いた毛を手拭で拭って清潔に保ちながら一通りの毛を剃り落としてしまうと俺は剃刀を濯ぐため一度身を起こした。


「…何だ、器用じゃないか」


傷一つ付けられずに、しかしつるつるになってしまった自分の下半身をみて組頭はいっそ面白そうに言った。


「まだ動かないで下さい」

切れた毛がまだまばらに残っているそこを水で湿らせた清潔な布で綺麗に拭き取る。剃刀負けして薄っすら肌の赤くなっているところもあるが、まずまずの仕上がり具合であるようだ。
緩く勃ち上っているような性器の根元はむきだしの肌が見えていて不恰好でもあり卑猥でもある。

組頭の身体の唯一傷の無い生まれたままの肌の色をした表面、その剥きだしの皮膚にもう一度剃刀を当てると、組頭は大体を察して身構えたのが分かった。抗議の言葉は無い。

「っ痛!」

剃刀を引き下ろすと細い傷跡が一本腹の下と性器の間に出来た。敏感な所にできた傷に組頭の片目は涙ぐんだ。


「まだ誰にも傷つけられてないトコなんてここぐらいしかないんで」

 グロい程に甚振られた組頭の身体はそれで刺激的ではあるが、ひとつぐらい自分の手で傷をつけてやりたかったのだ。
剃刀の刃を拭きながら俺が言うと組頭はそうだねと頷いた。俺はじわじわと滲んで零れる寸前の血のしずくを舐めとる。

「傷が治ったらセックスしましょう、組頭」


組頭は晴れて傷の無い箇所なんてどこにも無くなってしまった自分の身体を見下ろして複雑な顔でそうだねぇと生返事をした。



08/2/16



補足:部下がネクロ趣味でサディストという設定で書いたもの。
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