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ねこのきもち(文仙 猫耳が生えました)

 いつものとおり艶やかに美しい仙蔵の黒髪、その間からはいつもと違うことに黒い柔らかな毛に覆われた三角の耳が覗いている。さらには形の良い小さな尻の間からはやはりふわふわと柔らかな毛に覆われたしなやかな尻尾が生えていた。


「猫だねェ」


らしくなく半泣きの形相でその有様を見せにやってきた仙蔵の友人であり、そして重要なことに保健委員長である伊作は呑気にそう感想を述べた。

「…私はコレが猫でも犬でも狐でも狸でもどうでもいい!」

ヒステリックに声を荒げた仙蔵の言葉を聞いて伊作はまじまじとその可愛らしい猫耳に視線を注いだ。ややあって、

「そうだねえ、狐のほうが似合ってたかも」
「そうじゃない!なんとかしてくれと言っている!」


あはは、と朗らかに伊作は笑った。
伊作が笑うと仙蔵はきっ、と細い眉毛をつり上げる。と同時に尻尾の毛がぶわっと逆立ったのでどうやらその尻尾は飾りではなくきちんと仙蔵の意思や感情とに連動したものらしい。
身体の異変はとりあえず保健委員長にきけと思っているらしいが、伊作だって猫の耳と尻尾が生えてきた人間なんて初めて見る。原因も対処法も全くお手上げだ。
しかし、折角こう頼ってきてくれたのだからなんとかしてあげたい。
ふむ、と伊作は顎に手を当てて考えた。




*




「おい、お前なんだそれは」


薄い緑の制服の、頭巾の間から覗く猫の耳。そして袴の隙間から生えているらしい猫の尻尾を見て文次郎は目を見開いた。

「伊作にな、なんとかしろと頼んだら、ご丁寧に耳穴と尻尾穴を開けていただいたよ…」

うんざりとした顔で自棄気味に仙蔵は呟いた。
ぺたりと力なく床に座り込んでいる仙蔵は機嫌が悪いらしい。…と文次郎はぱたんぱたんとやかましく床を叩いている仙蔵の尻尾を見て判断した。

「…直に生えてんのか?それ」

興味を持ったらしい文次郎の言葉に仙蔵はさっと身構えて警戒した。

「触らせんからな!」

実のところ伊作のところから部屋に戻るまでに運の悪いことに小平太に見つかっていた仙蔵は、好奇心いっぱいに耳も尻尾も引っ張られ尽くしてきたばかりだった。
無遠慮な手に毛を逆撫でされたときのなんとも言えない悪寒を思い出して仙蔵は身震いした。四年生の平が途中で小平太を連れて行ってくれてよかった。本当に良かった。

というわけで仙蔵は慌てて両手で耳を隠して、尻尾の方は壁際に背をぺたりと貼り付けることで、文次郎の手から庇った。


「…分かった分かった、見るだけだ。ならいいだろう、な。」


文次郎は必死の仙蔵の態度に俄然興味が湧いたようだった。壁に張り付いている仙蔵にじりじりと距離を詰めてくる。

「なぁ、」

にやり、と人の悪い笑みを浮かべた文次郎に拙い、と仙蔵が判断し身を翻そうとした刹那、僅かに早かった文次郎の腕が仙蔵の細い腰を抱き寄せていた。


「は、放せ!…嫌だ嫌だ放せッ!!」


途端に暴れる仙蔵の身体を腕の中でよしよしと宥めながら、文次郎は仙蔵の尻のあたりで毛を逆立てている尻尾に視線を注いだ。眦をつり上げた仙蔵の怒りに合わせる様に不機嫌そうに文次郎の腿の辺りをびしっと叩くその尻尾はどうやら本当に生えているものらしいかったが、

「…よく分からんな」


文次郎は口の中で呟くと仙蔵の肩を掴んでくるりと反転させ壁の方を向かせた。

「も、文次郎…?」


嫌な予感にざわざわと仙蔵の猫耳が震えた。文次郎の手は案の定袴の帯に伸びている。

「まぁ、なんだ。見るだけだ」
「…ッ!!やめんかぁぁぁっ!!!」


決死の叫び声も空しく、伊作苦心の作である尻尾穴付きの袴は文次郎の手によってあっさりと引き剥がされてしまう。
曝け出された白い尻を撫で上げて文次郎はへぇ、と呟いた。

「なんだ?下帯つけてねェのか」

率直な言葉に仙蔵は拳を振り上げたが文次郎の腕ががっちりと後ろから身体を押さえ込んでいるために身を返すことが出来ない。仕方無しに振り上げた拳は悔し紛れに目の前の壁に叩きつけられた。
おお、怖ぇ、と文次郎は軽く眉を上げて見せる。

「………ッ尻尾が!!あたって!!擽ったいからだ!!」

怒りか恥かしさからか頬を上気させて仙蔵は下帯なしに袴を身につけていた言い訳をした。ふうん、と文次郎は鼻を鳴らす。

「これ、擽ったいのか?」
「っひ!」

仙蔵の唇から短く息を呑むような悲鳴が零れたのは文次郎が尻尾の根元をきつく掴んだからだった。びくっと背筋を伸ばした仙蔵を見て文次郎はますます面白そうだという顔をした。

「へェ…そうかそうか。成る程なァ?」

くつくつと喉に絡んだ笑い声に仙蔵が恐る恐る振り返るとこの上なく意地の悪い顔をして笑んでいる文次郎と目が合った。ぞわっと一気に背筋に寒いものが走った。

「うっ…」

仙蔵は咄嗟に逃げ出そうとしたが、その身体を文次郎はがっしりと片腕で抱きかかえなおすと、もう片方の手で尻尾の生え際近くを親指と人差し指で挟んで揉みしだくようにした。


「ふ、ぁあぅっ…!」


途端に背筋を震わせて艶っぽい声を上げた仙蔵の膝はくだけてしまって目の前の壁に縋りつくように身を寄せた。
耳の先がふるふると震えている。
根元を摘んだ指をそのまま尻尾の先端までつぅ、と滑らせていくとひぁん、だとかうやぁん、だとか鳴きながら壁にすがりつく仙蔵の身体がずりずりと下がって行って、最終的には文次郎に支えられた腰だけ突き出す形で床に伏してしまった。


「はぁっ、はっ…触らな、い…て、…ぁう!言った、くせに…」


声も肩も震わせて、仙蔵は文次郎を詰った。


先程廊下で小平太に弄られ倒した時には、擽ったいのが二割、おかしな気分になったのが一割、残り全部が痛い、に結び付いていたのだが。
しかし文次郎に弄りなぶられている今はおかしな気分が9割である。

こんなに高ぶるのは触れているのが文次郎だから、と一瞬甘いことを考えかけて仙蔵は自分を叱責した。わざと劣情を煽るよう、いやらしく触っているに決まっている。

仙蔵は熱を振り払うように緩く頭を振った。乱れる髪と一緒にパタパタと耳が瞬いた。

「はっ、可愛いな…仙蔵。」

低い文次郎の声が耳元で笑うと、仙蔵は固く目を詰むって喉を鳴らした。

尻を出して四つん這いの姿勢をとらされて、尻尾の毛を逆撫でられたり、緩急をつけてしごかれると、性感帯を刺激されているようなぞくぞくとした疼きが仙蔵の腰の下から背骨にかけて走る。

「っあ、ン…!ふぁあっ」

心臓がバクバクと音をたて頬が火照る。
もう我慢がならない。
腰をもぞもぞと落ち着きなく動かす仙蔵の背を抱くようにして文次郎が囁く。

「なんだ、すっかりその気か?」

仙蔵の前は既に透明な先走りを滲ませて、兆しを見せ始めている。
揶揄された仙蔵の目にじわりと涙が滲んだ。

「…ッお前が、…変、な触り方をするから…ッ」


喉に掛かって掠れた声、が涙のせいと知って文次郎はしまったと思った。
無骨な指で仙蔵の髪の毛を緩くかき混ぜる。

「辛いか?」

少し声音を優しくして文次郎が尋ねると、仙蔵は唾を飲み込んでこくり、とひとつ頷いた。濡れた睫毛の先が震えている。

「悪ィなあ…、善くしてやるから、もうちと、付き合えな…」

宥める様に背を擦ってやったあとで文次郎は尻尾の先を掴んだ。ピクリと仙蔵の背が緊張した。
文次郎はその尻尾を仙蔵の股の間に持っていって、緩く勃ち上がりかけている仙蔵のものと一緒に握り込む。

「ふゃぁああっう…!!」

溢れたのは発情期の猫のような甘い淫沌な嬌声だった。先端から溢れてくる精液を塗りこめるようにして全体を擦り上げれば、尻尾まで精液に重たく濡れて、ぐちぐちと湿っぽい音を立てる。

「気持ち良いか?仙蔵。」

ガクガクと首を振って頷く仙蔵の目は焦点が合っていない。開きっぱなしの唇の端を飲みきれない唾液が伝う。


「あ、ア、も、イく…ッ、もんじろう…もんじろ…っ」

力の入らない仙蔵の指は逃げ場を探すようにカリカリと床に爪を立てていた。強すぎる快楽にまた仙蔵の眦に涙が浮かぶ。

「ああ、いいぜ…イけよ。」

言葉と共に促すように入り口に爪を立てて躙ってやると、息を呑むように小さな悲鳴を上げて、背を弓なりにしならせた仙蔵は白い欲望を文次郎の手の中に吐き出した。
ぐったりと崩れ落ちた身体を支えて、文次郎はその頭を猫の子を可愛がる様に優しく撫でてやった。





*




「…ああ、酷い目にあった」

げんなりとした顔で呟く仙蔵の頭にはもう可愛らしい猫の耳は生えていない。
艶やかな黒髪が広がるばかりのその仙蔵の頭を文次郎は胡座をかいた膝の上に乗せて、その髪を撫でている。

互いに身体を交えてなんだかんだと戯れているうちに、ふと気付いてみれば仙蔵の頭から生えていた猫の耳は消えてしまっていた。
尻尾はどうなったと探ってみればこれもやはり無い。

「いつの間にか取れちまったな…出来物みたいなもんだったのか」
「あんな気持ちの悪い出来物があってたまるか」

文次郎の言葉に仙蔵は眉を潜めて返した。

「そうか?」

文次郎は薄く笑って仙蔵に囁いた。

「気持ちは、良かっただろうが」
「っ!」

要らぬ一言に即座に閃いた仙蔵の爪は文次郎の頬に3日は消えない傷痕を残したのだった。




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