忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

夢のはなし(コー伊 微エロ?(未遂)コーちゃんに舌が生えた)


▼夢のはなし




 もう実は幾度も同じ夢を見ていたから、伊作は一日の終わり布団に包まって眠る自分の傍らにからからいう乾いた音を聞いてもわざわざ起き上がらなかった。ああ、夢だ。そう思った。ここ数日毎日同じ夢を見ている。
からからいう音は、足音で、頭の横から回りこんで伊作の正面にくると止まった。目があった。
 
「やぁ、コーちゃん」
 
 伊作は挨拶した。少し首を持ち上げて見上げると、伊作の前には黒い装束を着た人の骨が一揃い立っている。伊作が名前までつけて日頃大事にしている骨格標本である。
また会ったね、伊作が少しはにかんで言うと骨は応えるように首を曲げた。それから横たわる伊作の身体を跨ぎ膝を折って屈んだ。上布団はそういえばいつのまにかどこかへやってしまった。困ったなぁ、伊作は骨に話しかけた。
 

「もうこんな夢は見ないようにしようと思っていたのに。…やっぱり欲求不満なのかなぁ。」
 

 恥ずかしいよ、と言いながら伊作は骨の胸に手を添えて、というよりは胸骨からあばらまでを指でなぞって琴でも弾くようにひとつふたつ弾いた。骨は黙って伊作の頬を撫で髪を梳く。それから骨は、伊作が着せた、自分の黒い忍び装束を脱ぎ落した。
伊作はこくりと喉を鳴らして見惚れる目をする。
 

「ああ、コーちゃん。コーちゃん。可愛い。」
 

 闇夜に白くぼう、と浮かぶ骸骨に伊作は頬を染めて喜んだ。骨は伊作の痩せた体を抱きしめるので、それを伊作は抱き返しながら布団の上へもつれ転がる。伊作は高揚していてきゃあきゃあと少女のような笑い声すらあげた。
 

「んん、コーちゃん。好きだよ。」
 

 骨はなにもかも承知したというように伊作の首を、鎖骨をなだらかな胸の上を、噛みつくというよりは随分緩く上下の歯で、挟んだ。あっ、と艶めかしい声をあげて伊作はそれを手でやんわり押しやる。
 
「駄目だよ、コーちゃん」


 これは伊作の見る夢だからそうやって骨を押し留めたのは自制に近い。
変な夢見てごめんね。伊作が笑ってせめて骨に口づける。骨には唇の柔らかな肉が無いから上下の綺麗な歯のかみ合わせに伊作は唇を押し当てて、そこいらで、伊作は目を覚ますのが常だった。

ところが今日の夢には続きがあるらしい。かたりと骨の噛み合わせがひらいたので伊作はおや、と思った。いつもとなんだか違うな、とそう考えたときである。
伊作の唇をこじ開けてぬめぬめしたものが入ってきた。舌である。それは伊作と接吻しているこの骨の上下の歯の向こうから生えてるらしいのだ。
 

 「ん、んんっ、…む、ぅ」


伊作は目を白黒させながらその接吻を受けていたのだがその内気持ちが良くなってくたりと体の力を抜いた。
舌を持った骨は伊作の耳の中を犯し、首筋を舐め、とうとう伊作の平らな胸の尖りを愛撫し始めた。


「あっ、あっ、だめ、ぇ…」


伊作は緩く首を振るが、さして強く拒む様子もない。少しぼんやり意識を霞ませた状態で、ああ溜まっているのだなぁと自分の身体のことを他人事の様に考えている。

やがて、骨が顔をあげた。



「……」

かたん、と上下の歯を鳴らして口を開いたのを見て、ああ口を聞くのだと伊作は思った。
伊作は勿論この骨の生きて話す様を聞いたことがないから一体どんな声で話し始めるだろうかと考えた。なんとなく知った人間の声を使ってしゃべるのではないかという予感がした。

骨は幾度かゆっくり口を開閉したあと、言葉を、発そうとする素振りを見せた。
あー、あぁ、と枯れた音を幾度か繰り出したのち、ようやく舌が慣れたのだろう。一度息継ぎの様に口を閉じて、開き、言葉を
 


 
「伊作」
 
揺り起されて伊作はうわぁ、と声をあげた。
布団にくるまって眠る伊作の傍らには同じ部屋を共有して暮らしている留三郎が、おそらくいつまでも寝ている伊作を見かねて声を掛けたものだろう、伊作の顔を覗き込んでいる。
 
「なんか寝ながらすげー唸ってたんだけどお前。」
 

変な声で。と留三郎が妙に含みを持たせた気まずそうな台詞を吐いたので伊作は、はははと苦く笑った。
笑いながら、いや、でも良かった、と呟いた。
 
「なんかあれ以上、情を交わしたら帰ってこれなさそうな気がするもの」
「はぁ?」

なんの話だよ、留三郎が細い眉を怪訝そうにしかめる傍らで伊作は寝乱れた袂を正して起き上がった。
 
「夢の話さ」



  


10/3/15


コー伊エロを書こうと思ったのですが、未遂に終わってしまいました。


PR

Comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

Trackback

この記事にトラックバックする:

Copyright © No Mercy for mobile : All rights reserved

「No Mercy for mobile」に掲載されている文章・画像・その他すべての無断転載・無断掲載を禁止します。

TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]