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友達未遂(竹谷×鉢屋)/鉢雷前提。出会い初め。人見知り三郎。


▼友達未遂



 真面目で優しくて人当たりの柔らかな不破雷蔵という男、の顔をして三郎は口汚い言葉を吐いている。


「嗚呼、馬鹿、くそっ垂れ、死ね、死ね、死んじまえ!」


 悪態を吐きながらじたばたと暴れる三郎の両手首を押さえて床に縫い付けて竹谷はしみじみとその良く出来た変装を眺めては感心したり首を傾げたりしている。
五学年に上がって同じクラスに籍を置くようになりはしたのだが、変装名人で天才と名高くまた警戒心も強い鉢屋三郎をこんなに近くで見るのは初めてなので物珍しいのだ。珍しい虫を見かけたら竹谷はその羽を広げて暴れないように抑えて気の済むまま観察するのが常なので、懇親の力を込めて暴れる三郎の腕を開いて床に押さえつけている。
 たまたま運良く竹谷が捕まえるに至った三郎は、非常に優秀な忍者のたまごであるからこれを逃がしたら二度とこの距離で見ることはないだろう。

 さてそういうわけでじろじろ観察されている三郎は最近、これまた竹谷と同じクラスの不破雷蔵という男が気に入りで、もうずっとその顔を真似ている。これが本当に良く似ているので竹谷が顔をしみじみ覗き込んだら三郎はぺっと唾を吐いた。


「顔以外はつくづく偽者なんだな」


竹谷の知る雷蔵は人の顔に唾を吐き捨てたりはしないので竹谷はそう言った。偽者呼ばわりに三郎は腹を立てたらしくてより一層じたばたと暴れるので手首を握る力を強くしたら、ぎゅうっと目を瞑って唇を噛む。薄い額に血管の筋が浮かんで眉を寄せるのがどことなく艶かしい。雷蔵はもっと太陽のように朗らかでこういう湿気っぽいいやらしさを感じさせない男だ。


「三郎、お前雷蔵が好きだろう」

竹谷が果敢に会話を試みようとしたところばたばたと竹谷の下で暴れ狂っていた三郎がぴたりと動きを止める。それから一呼吸置いて、凄まじい殺気で竹谷を睨んだ。

「何故知っている」
「ぶっ、お前本気で言ってんのか?」

三郎は毎日毎日好いた男の顔を真似して自分に張っつけながら、それが周りからどう見えるかも思い至らないで首を傾げている。
案外この男は面白くて可愛いぞと竹谷は思った。三郎は雷蔵以外にあまり親しい人間を作ろうとしないから勿体無い。孤立しない程度に気を配っているが、他人が懐に踏み込むのが苦手だ。竹谷が最初に手首を掴んだ瞬間、すかさず死ねと叫んだ。幼い気な位素直だった。


「なあ、お前雷蔵以外にも友達つくれよ。結構俺とだって気が合うと思うぜ。」

険悪な表情を浮かべた三郎は疑り深そうに竹谷を見上げた。
此方に興味を示したぞ、と竹谷は喜んだのだが続ける言葉を間違えたので三郎の一生分の不興を買ってしまった。

「俺も雷蔵好きだし」
「お前は私の敵だ!!一生!!」

三郎はきぃっとヒステリーな女の様な声を出して、息が切れて動けなくなるまで竹谷の下で暴れていた。




竹+鉢ファーストコンタクト。
雷蔵以外と絡ませると三郎が別人です。



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