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オウム/(竹←くく←タカ) 久々知が他所者に優しくしようという話


▼オウム



 ここらの空ではあり得ないような赤や黄の毛色をした図体のでかい鳥が、忍術学園の飼育小屋に飼われている。猛禽に似た姿の鳥は、鷹やらハヤブサと並んだ檻に大人しそうに澄まして収まっていたが、鮮やかな羽色はどうしたって周りの連中に浮いていた。なんでも南蛮から船に乗ってやってきた鳥らしい。非常に賢く、人語を解するそうだと生物委員の竹谷八左エ門が同学の久々知兵助に教えた。
食堂から引き取ったくず野菜の切れ端を鳥籠に差しいれながらにこにこと笑顔の眩しい八左エ門は、生物ならそれが鳥類であろうと獣であろうと等しく愛を注げるのだ。一方兵助は数多の生物の中でも一等八左エ門が好きで、その他のものにはあまり愛情を感じなかった。しかし八左エ門が得意な顔をするので鳥籠は覗く。

「どうだ、可愛いだろう。」
「・・・いや。派手なだけだ。」

珍しい鳥を見せてやると意気揚々する八左エ門の為に籠は覗いた兵助だったが、八左エ門の為に鳥に世辞を言うところまでは気が利かず正直にそう言った。ついでに常の無表情にちょっと眉を顰めて付け足しもした。

「それにこの鳥は夜になると酷く騒がしいじゃないか。」

ぎょっ、と悲鳴の様に鳥は鳴いた。
ぎゃあとかぎょうとか、人の叫ぶようにこの鳥は鳴くのだ。それは真夜中に特に五月蠅く聞こえ、生物小屋と遠い長屋では気にならないが、鍛錬などで外に出た者などの耳に届いては些かぎょっとさせたりする。
夜行性なのだから、仕方がないさ。と八左エ門は明るく言った。
ついでに籠に向き直って、よしよしお前は悪くないぜと鳥に話しかけた。満足そうに目を細める鳥が兵助は気に入らない。

「はっちゃんは、動物を甘やかしすぎるんだ」
「だけどこいつは他所から来て仲間もなく寂しい思いをしてるだろ。ちょっとぐらい甘やかしたって悪かないさ」

兵助も可愛がってやってくれよ、と屈託なく八左エ門は言った。




「そういうわけだから」

と兵助は眼の前の金髪頭にそう言い終えた。
斉藤タカ丸という編入生が兵助に向けて、最近優しいね、と疑問形で投げかけた言葉に対する返答である。
タカ丸は、少し口を噤んで考えてから、そうかぁと緩い声を出して首を傾けた。日に依って赤だったり黄色に脱色されているタカ丸の髪がふさりと揺れるのを兵助は撫でてやった。

「そうかぁ・・・。」

兵助くんは僕を他所者だと思ってるんだなぁ。
タカ丸の穏やかな呟きを聞き流して兵助はタカ丸の頭を撫で続けた。
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