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恋煩い/現パロ?


▽恋煩い


※現パロ?(前世で三郎と恋仲だったのを覚えてる雷蔵、みたいな前提でお読みください。)







 月面みたいだ。腐海みたいだ。原子爆発でも起こしたみたいだ。
 扉を開けたら雷蔵の部屋は恐ろしい兵器が落とされたみたいにぐちゃぐちゃだった。
本棚とかタンスとか一面物がなぎ倒されていて床に倒れていてその中身がぶちまけられている。障害物だらけの不毛の地の真ん中に雷蔵は居た。

 部屋をぐちゃぐちゃにしてしまったのは爆弾でも戦闘機でもなくて雷蔵の癇癪だった。
双子の片割れの雷蔵は穏やかで優しくて、いいやつだ。でもたまにこうして爆発を起こす。きっかけは私には分からない。


 雷蔵はぐちゃぐちゃの中に座り込んでて窓を見てた。もういつもの落ち着いた様子に戻っているようだ。大方散らかすだけ散らかして、我に返ったものの片すのが面倒くさくなってしまったのだろう。


「雷蔵は昔からそういうことする」

 私はそう言いながら落ちてるものを拾いながら雷蔵に近づいた。雷蔵は振り向いて私の顔を振り返って、ここで二次災害が起こった。地雷源は再度爆発する。


「お前がどれほど昔から僕を知っているんだ!」


 全くなにが雷蔵の癇癪に障るのか全く分からない。雷蔵は眉間と鼻の上にきつく皺を寄せて鬼みたいな顔をして怒鳴っている。普段はきょとんとした可愛い顔をしているのに、雷蔵はこんな鬼みたいな獣みたいな顔も出来るのだ。私はうろたえた。
 それこそ生まれたときから一緒にいた私ほどずっと雷蔵を知っている人間なんて居ないと思うのに雷蔵はどうして「どの程度知ってる」なんて聞くのだろう。

「子供の頃から見てきたじゃないか」
「そんなもの。僕はもっとずっと昔からお前を知っているのに」


そして雷蔵は顔を歪ませて呻くのだ。


「ああ、また間違えた。お前は違う。お前は三郎じゃない。でも、お前がそんな顔をしているから悪いんだ。なんだって同じ顔で生まれてきたんだ紛らわしい」


 三郎が僕を間違えたらどうするのさ。


 等と言った雷蔵の顔は今度は菩薩の様に美しかった。鬼になったり菩薩になったり忙しい雷蔵の癇癪の原因がこの辺で私にも何となく分かった気がした。私の顔が雷蔵の親しい誰かに似ているらしいのだ。私たちは双子だからそれは雷蔵の顔にも似ていることになるのが不思議なことだけれども。
雷蔵はそいつに会えないから私の顔を見ると辛いのだろう。

多分雷蔵の癇癪の正体はこれだ。



「可哀想、雷蔵。辛い恋をしているんだね」



雷蔵は真っ赤な目をしてこくんと頷いた。











双子君が前世の記憶の無い三郎なのか、ただの双子くんなのかは不明。とりあえず雷蔵のは室町三郎への恋。
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